土日診療 「三鷹駅」徒歩3分
親知らずとは、永久歯が生え揃ったのち、前歯の真ん中から数えて8番目に生えてくる歯のことです。 まっすぐに生え、かつ周囲の歯や歯ぐきを傷つけたり圧迫することがなければ、本来は他の歯と変わらず、抜歯せずとも問題ありません。しかし私たち現代人の小さな顎には、親知らずが適切に生えるスペースが足りないことが多く、その結果、傾いて生えたり、顔を出さずに埋まったまま周囲の組織を圧迫したりしていることがあります。
親知らずとその周囲で起きる急性的な炎症は、⻭と⻭の間で起こる微細な⻭周病の「巨⼤版」と⾔い 換えても過⾔ではありません。つまり、⻭ブラシが届かず汚れが停滞した状態で菌の温床となり、⻭ の周囲の⾻を⼀部溶かしながら顎が腫れる。⼀般的な⻭周病ではよほどのことがない限り顎が腫れるところまでの症状を出すことは稀です。
症例1:右下智歯周囲炎
症例2:左下智歯周囲炎
このような状態にしてしまうと,親知らずの⼿前の⻭まで⼤きなダメージを受けてしまいます。傾いた親知らずは、それ⾃体が問題であること以上に、上下でしっかりと噛めている本来の仕事をしている健康な⻭をダメにしてしまうことです。
1 親知らず周辺の歯が虫歯にならなくて済む2 痛みから解放される3 かみ合わせや歯並びが悪くなるのを防げる4 歯ブラシがしやすくなる
下の顎には、下顎管(かがくかん)という1本の管が存在しています。この管の中には、下歯槽神経(かしそうしんけい)という、下唇や顎の先端部分であるオトガイの知覚を司る大切な神経が走行しています。下顎の親知らずはこれに近接していることが多く、抜歯の際、傷つけてしまうリスクがあります。下歯槽神経を損傷すると、歯茎の一部、下唇やオトガイの神経が麻痺することがあるため注意が必要です。
呼吸の際に空気が流れる道を「鼻腔(びくう)」といいます。鼻腔の周囲には4つの空洞が存在しており、これらをまとめて「副鼻腔(ふくびくう)」と呼びます。上顎の親知らずのすぐ上には「上顎洞(じょうがくどう)」という副鼻腔が存在しており、歯の根っこが上顎洞に突き出ていたり、根尖と上顎洞を隔てる骨が非常に薄い場合に、抜歯処置を施したりすると、副鼻腔と口がつながってしまい細菌や真菌などに感染し、副鼻腔炎の一種である「上顎洞炎」を引き起こしてしまうこともあります。万が一このような症状が出た場合でも、適切に処置を行うことで空洞は塞がります。
妊娠中だから歯科治療は受けられない、は完全な誤解です。妊娠のステージによっては治療を延期したほうが良いということはありますが、その判断は必ず専門家が行うべきであり、口腔内に異常を感じているのにもかかわらず放置するというのは決して良い選択ではありません。妊娠のステージと親知らず周囲の炎症の程度との比較で、今処置を行うべきか、処置は見合わせて投薬で逃げるかを医学的に判断します。痛みを我慢していると、ストレスホルモンが分泌され、そのことはお腹の胎児にとって決して良いことではありません。一度腫れたことがある、たまに歯茎が腫れることがある、ブラッシング時はいつも気になるなどの症状がある方はぜひご相談ください。