母親学級

母親学級

全ての健康の始まりはお口から

ご出産までの間、お母様の健康管理がとても大切になってきます。
お腹の赤ちゃんを健康に育てるためにも、 そして育てるためのお母様を守るためにも、定期的な健診を必ず受けましょう。

健康な歯肉と病的な歯肉

健康な歯肉

歯肉炎・歯周炎の歯肉

  • 全体の色調は白いピンク色

・歯と歯の間の歯肉は三角形に尖っている

・歯肉表面には「スティップリング」と呼ばれる小さなくぼみがいくつも見られる

・全体の色調は全体に黒ずんで赤みがかったピンク色

・歯と歯の間の歯肉は丸みを帯びている

・歯肉表面はツルっとした性状でスティップリングは消失している

歯肉炎と歯周炎の違い

歯肉炎は「歯肉」の病気なので、歯を支える骨には基本的に異常がない。主に口腔衛生管理の不備による炎症で、細菌感染ではない。
歯周炎は「歯周組織」(=骨)の病気なので,、歯を支える骨が溶けてなくなる。歯周病原菌という歯周病に深く関わる菌が存在。

歯槽膿漏とは、正式な病名ではなく「歯肉炎」と「歯周炎」を併せた状態名です。

骨に病気がうつる前には必ず歯肉に異常が現れます。この時点で対処できれば完治は可能です。
しかし一度歯周炎に移行すると完治が難しくなり、現状維持が目標となることを忘れてはいけません。

妊娠性歯肉炎

1,ホルモンバランスの変化

エストロゲンは歯周病原菌の増殖を促す。
プロゲステロンは炎症を起させるような状態になりやすい。

2,食事回数の増加

お腹が張るので1回の食事量が減少し、1日の中で複数回に分けて食事をすることが多くなるため、唾液の「緩衝作用」が起こりにくい。

1,歯ブラシを口に入れると気持ち悪い

軽度の口腔内の刺激により嘔吐反射が働きやすい状態になる。
なかなかブラッシングを長時間行うことができない。

1,唾液が粘稠性に変化

嘔吐に伴い唾液が粘稠性(ねばねば)に変化。
唾液の「自浄作用」が働きにくくなり,口腔内が不衛生になりやすい。

 

妊婦における早期低体重児出産の危険率

歯周病菌が全身に与える悪影響

本来なら生体の別の場所で共生しているはずの微生物が、胎盤および羊水中からいくつか検出された。

胎盤および羊水中から検出された本来そこにいるはずのない細菌叢は、口腔内特に歯周病罹患者のそれと最も類似した。

では、どうすればいいのか?

徹底した口腔衛生管理あるのみ!

歯周病を予防するためにはプラークコントロールが重要ですが、妊娠中は思うように歯を磨くことができないことから、無理をせずに歯周病を防ぐことができる、次のような対策がおすすめです。

・体調がいい時に歯磨き

・水分をしっかり摂る

・かかりつけ歯科医院で定期的に口腔衛生管理

今からすべき3つのこと

  • 定期検診
    →まずはかかりつけ医院を作りましょう。母子手帳と一緒に入っている「妊婦健診用紙」をもって、お近くの歯科医院へ。
  • セルフケア
    →おうちでできる、日ごろの口腔衛生管理です。
  • プロフェッショナルケア
    →病院で行う、プロの手による口腔衛生管理および歯周疾患指導管理です。

三鷹市 妊婦歯科健康診査受診票

・母子手帳と一緒に入っています。

・三鷹市の協力歯科医療機関で受診可能です。

・なるべく体調のよい午前中に予約を採るとよいでしょう。

・安定期(おおよそ16~27週)の間に受診すると身体の負担は少ないと思われます。

 

妊娠期間中に治療が必要になった場合(4つの注意事項)

レントゲン

妊娠初期の「器官形成期」に
大量の放射線を浴びると危険

自然放射線(世界)  2.4  mSv
自然放射線(日本)  1.5  mSv
東京 ⇔ NY 1往復   1.5  mSv

歯科用パノラマX線   0.03mSv

投薬

妊娠初期の「器官形成期」に高濃度の薬剤に晒されると危険

薬局で入手できる薬剤を,用法・容量を守らずに服用した場合薬は身体にとって有害な毒となる。

麻酔注射

麻酔薬に含まれる血管収縮剤「フェリプレシン」が陣痛誘発・促進剤と同様の効果を出すといわれる.

麻酔の母体濃度よりも胎盤内濃度の方が高くなる問題も以前は指摘されていたが、歯科治療に用いる程度なら問題ないとされる。

治療計画

お口の中の状態と妊娠のステージに合わせた治療の可否や計画を立案。

・予約の時間帯
・緊急対応のみ
・治療を計画
・いつまで通院可能か  …等々

妊娠期間中の歯科受診

医学的な判断は必ず専門医の指示を仰いでください。

不要不急?

・治療や健診は妊娠の「初期・安定期・後期」のうち、安定期(16週~27週)の間に行うことが望ましい、と言われています。

・健診によって治療すべき箇所が見つかる可能性は必ず念頭において受診してください。

・今治療すべきか否かはご自身の判断ではなく、必ずかかりつけ医療機関の判断を仰いでください。

・口腔衛生管理(メインテナンス)は、「不急」ではないかもしれませんが、決して「不要」ではありません。

歯肉炎・歯周炎の歯肉

・妊娠初期や後期は様々な観点から治療がしにくくなってきます。しかし、痛みを我慢したことで放出されるストレスホルモンもまた、妊娠中の身体にとっては悪影響です。

・ご出産間近であったとしても、処置が必要な場合には必要最小限の範囲内で診査・診断、加療を計画することはあります。

まとめ

【1】今もう既にあなたのお腹にいる赤ちゃんのあごの骨の中では,歯が作られ始めています。

【2】妊娠中に起きる歯肉炎のほとんどは単純性歯肉炎

【3】母子共の健康維持の秘訣は徹底した口腔衛生管理。そのための「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」の両立

【4】口腔衛生管理は妊娠期間中いつでも可能
治療は内容によってかかりつけ医と要相談

【5】「正しく理解」して「正しく怖がる

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