親知らずが腫れる・痛む原因は4つ!応急処置と予防法を解説
口内の一番奥に生える親知らずですが、実は口腔内トラブルを引き起こしやすい歯でもあります。
親知らず周辺の歯茎が腫れることもあり、原因は虫歯や歯周病、歯性感染症などさまざまです。
この記事では、親知らず周辺の歯茎が腫れる原因について解説します。
また腫れたときの応急処置方法や親知らずの腫れを防ぐ方法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
親知らずが腫れる4つの原因

親知らずが腫れる原因は4つ挙げられます。
- 虫歯
- 親知らずの抜歯
- 歯性感染症
- 智歯周囲炎
ここでは上記4つの原因についてそれぞれ解説します。
虫歯
親知らずは一番奥に生えており、虫歯や歯周病のリスクが高い歯です。
虫歯や歯周病のリスクが高い理由としては以下が挙げられます。
- 一番奥に生えているため歯ブラシが届きにくい
- 斜めや横向きになって生えてくることがある
- 汚れが溜まりやすい
歯ブラシが届きにくい場所にあるだけでなく、生え方が悪いとどれだけ丁寧に歯磨きをしても汚れが溜まりやすくなってしまうのです。
上記のような理由から、他の歯と比べて虫歯や歯周病になるリスクが高いといわれています。
虫歯が進行すると歯の根の先端に炎症が起き、歯茎が腫れることがあります。
歯茎が腫れるのは虫歯がかなり進行している状態のため、ズキズキとした痛みを伴うことが多いです。
親知らずの抜歯
親知らずを抜歯すると腫れることがあります。
抜歯後の痛みや腫れには個人差があり、全く腫れない場合や強く腫れる場合もあります。
親知らずの生え方や治療の難易度によっても異なりますが、通常は1〜2日程度でピークを迎え、1週間程度で落ち着いてくるケースが多いです。
腫れやすい親知らずの特徴としては以下が挙げられます。
- 横向きに生えている親知らず
- 歯根が曲がっている親知らず
- 歯肉や骨の中に埋まっている親知らず
上記の特徴に当てはまる場合、抜歯後に腫れやすい傾向にあります。
また親知らず抜歯後、頬だけでなく目の下や顎の下にかけて大きく腫れている場合、感染が広がっている可能性が高いです。
1週間経っても腫れが引かない場合にはすぐに歯科医院に連絡しましょう。
歯性感染症
歯性感染症は、虫歯や歯周病などの炎症が周辺組織まで広がることにより引き起こされる疾患の総称です。
親知らず周辺の歯茎で炎症を繰り返している状態を放置しておくと、患部が腫れるだけでなく、口が開かなくなることもあります。
歯性感染症には様々な疾患がありますが、一例として以下が挙げられます。
疾患名 | 特徴 | 症状 |
顎骨骨膜炎 | 細菌があごの骨に感染することで起こる感染症 | 顎を中心に顔全体が腫れ、鼓動に合わせてズキズキとした痛みを生じる |
化膿性リンパ節炎 | 細菌がリンパに感染することで起こる感染症 | リンパ節が腫れる 高熱が出る場合もある |
歯性上顎洞炎 | 細菌が上顎洞に入り炎症を起こす感染症 | 目の下や頬骨あたりが腫れたり押すと痛みを感じたりする |
治療方法は症状によって異なるため、親知らずが腫れたらすぐに歯科医院を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
智歯周囲炎
智歯周囲炎(ちししゅういえん)は、親知らず周辺の歯茎に起こる炎症のことです。
親知らずは磨きにくい位置にあるため雑菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病の進行によって顎の骨やリンパにまで感染が広がることがあります。
親知らず周辺の歯茎が腫れたら智歯周囲炎を疑うと良いでしょう。
一度腫れが治まっても炎症を繰り返す可能性が高いため、歯科医院で適切な治療を受けることが大切です。
親知らず周辺の歯茎が腫れる智歯周囲炎の症状

親知らず周辺の歯茎が腫れる智歯周囲炎には次のような症状があります。
- 顔が腫れる
- 顎に違和感や痛みが生じる
- 腫れがひどくなり口が開けづらくなる
ここでは上記3つの症状についてそれぞれ解説します。
顔が腫れる
智歯周囲炎の初期症状として歯茎が腫れ、それに伴い顔が腫れる場合があります。
腫れた部分の歯茎は赤く盛り上がり、触ると痛みを生じたり膿が出たりすることがあるのです。
症状が悪化すると歯茎だけでなく頬の痛みも生じ、頬全体が腫れてきます。
顎に違和感や痛みが生じる
智歯周囲炎の症状が進行すると、歯茎だけでなく顎に違和感や痛みが生じることがあります。
細菌が顎の骨に感染することで歯髄が侵食され、顎骨骨髄炎という炎症を起こし、顎に痛みや痺れ感が生じます。
一般的には下顎の骨の方が顎骨骨髄炎になりやすいとされており、症状が悪化すると外科的治療が必要になるため、重症化する前に治療を受けることが重要です。
腫れがひどくなり口が開けづらくなる
智歯周囲炎の症状が悪化すると、腫れがひどくなり口が開けづらくなる場合があります。
ここまで症状が進行すると物を飲み込むときに痛みを生じたり、何もしていなくてもズキズキとした痛みを感じるようになったりすることも。
食べ物だけでなく、水を飲むことすら困難になる場合もあるため注意が必要です。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)に発展することも
適切な治療を受けずに智歯周囲炎を放置しておくと、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という炎症を引き起こすことがあります。
蜂窩織炎になると口底や顎の下、頸部まで腫れが広がり、膿がたまってしまいます。
発熱や全身の倦怠感などの症状が現れ、頸部の腫れによって呼吸困難に陥ることもあり危険です。
免疫力が低下しているときは智歯周囲炎の症状が進行しやすくなるため、重症化する前に適切な治療を受けるようにしましょう。
親知らずが腫れたときの5つの応急処置方法

ここでは、自宅で出来る応急処置方法を紹介します。
- 痛み止めを服用する
- 患部を冷やす
- 歯磨きをして口内を清潔にする
- うがい薬で口の中を消毒する
- しっかりと休む
上記5つの応急処置方法についてそれぞれ解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、親知らずが腫れたときは可能な限りすぐに歯科医院を受診することが望ましいです。痛みが治まったからといって放置せず、治療を受けましょう。
痛み止めを服用する
親知らずが腫れて痛むときは市販の痛み止めを服用しましょう。
歯科医院で処方された痛み止めがあれば優先して服用し、もしなければ市販の痛み止めでも問題ありません。
どちらの痛み止めを服用する場合でも、用法・用量を守って服用するようにしてください。
ただし、痛み止めの服用は根本的な解決にはなりません。親知らずが痛む原因を突き止めて治すためにも、なるべく早めに歯科医院を受診しましょう。
患部を冷やす
冷やしたタオルや氷をくるんだタオルで、患部の頬側から当てて冷やします。
熱をもっている患部を外側から冷やすことで、症状を和らげることが可能です。
口の中に直接氷を含むと刺激が強すぎて逆効果になる可能性があるため避けましょう。
歯磨きをして口内を清潔にする
親知らずが腫れたときは、歯磨きをして口内を清潔に保つことが大切です。
口内を清潔に保つことで細菌の繁殖や症状の悪化を防げます。
歯磨きをする際はできるだけ毛先の柔らかい歯ブラシを使用するのが望ましいでしょう。
毛先の硬い歯ブラシで磨くと、症状を悪化させる可能性があるため注意してください。
うがい薬で口の中を消毒する
親知らずが腫れたときはうがい薬で口の中を消毒しましょう。
うがい薬を選ぶときは、刺激が弱く殺菌作用の強い商品を選ぶことが大切です。
アルコール成分が強いと刺激によって症状が悪化する可能性があります。
歯磨きとうがい薬で口内を清潔に保つようにしましょう。
しっかりと休む
体の抵抗力が低下すると症状が悪化しやすくなるため、親知らずが腫れたときはしっかりと休むことが大切です。
睡眠時間が短かったり精神的・身体的疲労が溜まったりしている状態だと、細菌に対する抵抗力が低下し、親知らずの腫れが悪化する可能性が高くなります。
十分な睡眠をとり、健康的な食事を心掛けるようにしましょう。
親知らずが腫れるのを防ぐ方法

親知らずが腫れるのを防ぐ方法は3つ挙げられます。
- 定期検診を受ける
- 歯のクリーニングをしてもらう
- レントゲン撮影を受ける
上記いずれも歯科医院で対応してもらうことが可能です。
ここでは上記3つの方法についてそれぞれ解説します。
定期検診を受ける
親知らずが腫れる主な原因は虫歯や歯周病によるものです。
歯科医院で定期検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見が可能になります。
また親知らずは虫歯になると完治しても再発することがあるため、抜歯を推奨されるケースが多いです。
親知らずには抜いたほうが良い歯と抜かなくても良い歯があるため、受診の際に相談してみるのもよいでしょう。
定期検診の頻度は歯科医院によって異なりますが、3〜6か月に1回のペースでの通院が推奨されます。
定期検診を受けて虫歯や歯周病を予防しましょう。
歯のクリーニングをしてもらう
歯科医院では虫歯や歯周病の治療だけでなく、歯のクリーニング(PMTC)を受けることも可能です。
自宅でどれだけ丁寧に歯磨きをしていても、どうしても歯垢や歯石が溜まってしまいます。
歯科医院では専門的な機械を使用して歯垢や歯石を取り除けるため、虫歯や歯周病の予防に効果的です。
定期的にクリーニングを受けることで虫歯や歯周病予防ができるのはもちろん、第三者にチェックしてもらうことで自分の歯の状態を客観的に把握できます。
クリーニングの頻度は定期検診と同様、3〜6か月に1回のペースが推奨されます。
レントゲン撮影を受ける
歯科医院でレントゲン撮影を受けることで、肉眼では見えない場所で起こる虫歯や歯周病を確認可能です。
それだけでなく親知らずの生え方もチェックできるため、親知らずが原因による痛みや腫れを予防できます。
レントゲン撮影の頻度は1年に1回程度が目安です。
定期的に自分の歯の状態を確認し、口腔内トラブルを予防しましょう。
まとめ
親知らずが腫れる原因は虫歯や歯周病、歯性感染症、智歯周囲炎などさまざまです。
虫歯や歯周病が原因で起こる智歯周囲炎によって歯茎が腫れるケースが多く、症状が進行すると口が開けづらくなり、食べ物や飲み物を摂取するのが難しくなることもあります。
放置しておくと重篤な症状につながることもあるため、親知らずが腫れたときはすぐに歯科医院を受診しましょう。
岡崎歯科では、土曜日・日曜日も診療しています。突然親知らずが腫れるなどのトラブルが起きた際は、気軽にご来院ください。
#親知らず #親知らずの腫れ