親知らずの年齢別リスクとは?生えるのは?抜くのは?時期ごとに紹介
親知らずが生える時期や問題を起こし始める時期は、誰でも同じというわけではありません。
そして抜歯をするタイミングも、適した年齢があります。
この記事では、年齢ごとに少し違う親知らずのリスクや抜歯の時期、早く抜いた方がいい理由やどうしても抜きたくない場合などの対処法をご紹介します。
親知らずの抜歯をすすめられているけれど、勇気が出ない人の参考になれば幸いです。
親知らずが生える年齢

親知らずが生える年齢は人によって違います。
親知らずのゆえんは、昔の日本人の平均寿命が短く、子どもに親知らずが生える頃にはもう親が亡くなっているということからきているという説があります。
ここでは、親知らずが生える年齢や問題が起こり始める時期、生える前の前兆などについて紹介します。
骨のなかにでき始めるのは10歳前後頃
親知らずとなる歯胚(しはい)が骨のなかにできるのは大体10歳前後頃といわれています。
歯胚は、のちに歯となる細胞のことで、乳歯の歯胚は胎生(たいせい:妊娠期間のこと)7~10週くらいに形成され、永久歯の歯胚はそのあと胎生3ヶ月くらいで形成されます。
母親の胎内にいるうちに歯胚ができる乳歯・永久歯と違い、親知らずの歯胚は生まれてから形成されます。
そして親知らずの歯胚が遺伝子情報によって形成されない人が、いわゆる「親知らずがない」人です。
通常は10代後半~20歳前後
親知らずが生えてくる平均年齢は10代後半~20歳前後です。
一般的に乳歯は2歳半~3歳くらいまでに生え揃い、そのあと5歳半~6歳頃から12~14歳くらいまでの間にほとんどの乳歯が抜けて永久歯に生え変わります。
しかし、15~16歳くらいまで顎は成長します。
生え変わるペースは親知らずに限らず一般の歯でもそれぞれ個人差がありますが、親知らずの場合は永久歯への生え変わりが一通り済んだあと、大体20歳前後までに生えてきます。
特に親知らずは、あるのは分かっていても生えてこない・見えてこない場合があるため、発見が遅れたり、気付かないケースも少なくありません。
30~40歳代で生えることも
親知らずが30〜40歳代で生えてくることもあります。
親知らずにも、生え変わりが遅れる『萌出(ほうしゅつ)遅延』や、そこにあるのに表に出てこれない『埋伏歯(まいふくし)』などの原因があると、なかなか表に出てきません。
歯の成長は人それぞれで、歯胚から歯に成長するまで時間がかかったり、歯胚の形成が遅くなったりすることもあり、30歳を過ぎてから生えてくることも珍しくありません。
生える時期と痛みだす時期は同じではない
親知らずは上述の通り、生える時期がさまざまなうえ、生えてくる時期と痛みだす時期を関連付けることができません。
生えてきてもなにも問題がなく普通に使える場合もあれば、表面に出てきていないのに痛みや腫れなどがさまざまな理由で伴う場合もあります。
親知らずは早期発見が一番ですが、大体が痛みや腫れがきっかけでの発見となることが多くなるため、その時点で対策を歯科医師と相談するのがいいでしょう。
親知らずが生えるときの前兆
親知らずが生えてくるときに感じる前兆は以下の通りです。
- 奥歯や歯茎がむずむずする・痒い
- 歯茎が白く見える・白いものが見える
- 一番奥の歯茎に歯ブラシや食べ物があたると痛い
- 歯茎に圧迫感や、押されるような痛みがある
- 一番奥の歯茎が膨らんできた
なんの違和感もないまま生えてくる親知らずは気付きにくいですが、上記のような症状を感じたら早めに歯科口腔外科のある歯科医院を受診しましょう。
親知らずを抜く年齢

親知らずを抜歯しなければならない場合、どの年齢で抜歯するかによってさまざまな違いがあります。
親知らずを抜歯する際の年齢の差について紹介します。
親知らずを早く抜いた方がいい理由
親知らずは、何かトラブルになっている場合以外でも、きちんと生える見込みがない場合など、早めの抜歯をすすめられるケースがあります。
親知らずを早く抜いてしまったほうがいいケースは以下です。
- 歯磨きしにくいため虫歯や歯周病になる可能性がある
- 顎が成長すると骨が固くなり抜歯しづらくなる
- 若いうちに抜くと回復が早い
- 親知らずが成長する前なら歯の根が未完成で抜きやすい
しかし親知らずをいつ発見したのか、そして親知らずが原因のトラブルがいつ発覚するのかで、抜歯の時期や、抜歯の適否も変わります。
親知らずの抜歯:10代
10代で行う親知らずの抜歯は矯正を行う患者さんが多く、まだ歯が卵の状態のうちに抜くことになるため、削る骨も少なく、腫れや痛みが軽く済む傾向があります。
10代の外科手術となるため、保護者への説明やCT撮影などもしっかりと行われます。
そして歯胚の状態での抜歯は、医療的な必要性がないため、健康保険の適用外となり実費がかかります。
親知らずの抜歯:20代
20代での親知らずの抜歯が最も最適といわれています。
- 歯と骨との結びつきがまだ弱いため抜きやすい
- 抜歯後の回復や治癒に対して体力が整っているため長引きしにくい
- 親知らずが原因のトラブルが悪化する前に対応できる
歳を重ねるごとに、上記のような好条件から離れてしまうため、若いうちに問題を発見できたのであれば、対応も早めにしてしまいましょう。
親知らずの抜歯:30代
30代は、親知らずの抜歯にとって最後のチャンスといえるかもしれません。
20代後半になると親知らずが生えている顎の骨が硬くなりはじめ、親知らずとの結びつきも強くなるため、30代では抜歯しにくくなります。
20代に問題が起こって抜歯をすすめられたにもかかわらず、30代まで様子を見てきたという場合、親知らずは放置していても改善しないため、悪化しているといってもいいでしょう。
回復力も20代より多少劣るため、問題がどんどんと大きくなる前に、せめて30代前半に抜歯することをおすすめします。
親知らずの抜歯:40代
40代という年齢は、親知らずが虫歯や歯周病になって口臭などを引き起こすケースが多くなります。
さらに、抜歯しなければならなくなった場合、虫歯などのトラブルによって口腔内の状態が悪いと、抜歯したあとの回復に時間がかかることがあります。
他にも、40代を過ぎた親知らずでは、歯が他の歯と癒着してしまうという『アンキローシス』という現象が見られることがあり、そうなると抜歯がしにくくなってしまいます。
しかし抜歯しにくくなったとしても、親知らずによって引き起こされる問題は抜歯でしか解決できない場合も多いため、40代で様子を見ることにしたところで、改善はむずかしいでしょう。
親知らずの抜歯:50代以降
50代以降では、親知らずが活躍してくれる場合があります。
50代以降ともなると、虫歯などで奥歯が抜かれている場合が考えられますが、親知らずの手前の歯がない場合、親知らずを部分入れ歯の支えにできます。
他にも、親知らずが虫歯にもならず健康な場合、抜歯した他の歯の代わりとして、移植できる可能性があります。
若い頃に比べると、移植した親知らずが生着する可能性はどうしても低くなりますが、歯を1本でも多く長く使うための選択肢として、歯科医師と相談する余地があります。
トラブルがあるせいで抜歯をすすめられる場合、特に60代ともなると歯を1本でも多く保ちたい、抜歯したくないという気持ちが強い年齢でしょう。
虫歯や歯周病が身体全体に影響を及ぼすことを考えれば、抜歯を考えなければならない場合もあります。
親知らずの抜歯:高齢者
高齢者の親知らずの抜歯については、さまざまなリスクがあります。
高齢者は免疫力が低下しているため、予後がよくない場合や、骨が固くなっていて抜きにくいなど、さまざまな悪条件がどうしても重なってしまいます。
また、高齢者ともなると血圧の問題や心臓病などの持病があり、大抵の人が薬を服用しているため、血が止まりにくいなどの症状が起こり、抜歯後の治癒に時間がかかります。
そのような場合は歯科医師だけでなく、内科などとの連携が必要となるため、高齢者の親知らずの抜歯については、かかりつけの科との相談も必要です。
とはいえ生えてきた年齢が高齢であっても、もし親知らずに気が付いたら、正しい磨き方や対策について相談するため、一度歯科医院を受診するとよいでしょう。
今は抜歯を選べない場合

親知らずが問題を起こしているけれど、今は抜歯を選べない人もいると思います。
例えば、受験や結婚式など人生のイベントを予定していたり、大きな仕事が控えているなど、誰もが都合よく抜歯できないタイミングもあるでしょう。
ほんの少しの間、どうしても抜歯できない場合の対策として、以下があります。
- 歯磨き……痛みを軽減できる場合がある
- 冷やす……頬の外から冷やす。直接冷やさない
- 痛み止めを飲む……一時的に痛みを抑えるため、市販の痛み止めを服用
- クリーニング……歯科医院でできる、専用の機器を用いた掃除
- 消毒……歯科医院でクリーニング後、炎症を抑えるための処置
自宅でできる対処法の他に、歯科医院でやってもらえる処置もありますが、あくまでもすぐに抜歯できない場合のものであって、決断を長引かせるものではありません。
歯科医院に事情を相談したうえでの対策ですが、抜歯を提案されているのであれば、なるべく早く抜歯するのが最適な選択です。
まとめ
親知らずは年齢を追うごとに抜歯のリスクが高くなっていく傾向があるため、現在が何歳であっても早いうちの対処が安心だということが分かっていただけたかと思います。
親知らずは問題を起こして抜歯になることが多い歯ですが、早く見つけて打てる手を打つには、歯科医院による定期健診が有効です。
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