訪問歯科の必要性とは?健康維持と自分の歯で長く生活できる意味

「歯医者に通院できなくても、自分でケアしているから問題ない」。そう考えている人もいるかもしれません。

しかし、通院できない人の口腔内ケアをカバーする訪問歯科は、多くの人に利用してほしい医療システムです。

適切な口腔内ケアにより、身体の健康を守るほか、歳を取っても自分の歯で食事や会話を楽しめることにつながります。

通院ができなくてもケアができる訪問歯科は、そのような楽しみを守るサポートができる選択肢です。

訪問歯科の役割やその目的などが分かっていれば、積極的に利用してみようと考えるきっかけになるでしょう。

この記事では、訪問歯科の役割や目的など、必要性について詳しく紹介します。

訪問歯科の必要性

訪問歯科の必要性について示す医療従事者の画像

訪問歯科は通院できない患者様を自宅や入居施設などで診療・治療し、口腔内の健康を守るサポートをしています。

口腔内のトラブルは歯や歯ぐきに痛みや不快感を与えるだけではなく、場合によっては思わぬ病気につながることもあるため、積極的なケアが必要です。

ここでは、訪問歯科による口腔内ケアが具体的にどのような健康サポートをしているか、その必要性について紹介します。

虫歯や歯周病になるリスクの軽減

訪問歯科の重要な役割のひとつは、以下のようにむし歯や歯周病になるリスクを軽減することです。

むし歯や歯周病などの口腔内トラブル防止には適切なケアが欠かせませんが、通院が困難な人々はセルフケアがメインになり、すみずみまでのケアが難しくなることがあります。

訪問歯科は自宅や入居施設で定期的な診療を行えるため、専門家によるケアで口腔内の健康状態を維持しやすく、むし歯や歯周病の予防に役立ちます。

虫歯や歯周病は放置すると痛みや不快感を引き起こすだけでなく、歯の喪失や骨の破壊を招くこともある重大な疾患です。

訪問歯科の定期検診や口腔内クリーニング、セルフケアやライフスタイルの指導などがあれば、通院しなくても健康を守ることにつながるでしょう。

訪問歯科は高齢者の利用が多いですが、実際は年齢制限がなく、若い方でも利用できます。若いうちからむし歯や歯周病を防ぐことはとても大切です。

障がいや病気、事故などで通院が困難であれば、訪問歯科で口腔内ケアをしてみてはいかがでしょうか。

重大疾病の予防

口腔内の健康状態が全身の健康に与える影響は無視できません。訪問歯科は、むし歯や歯周病の予防にとどまらず、重大疾病のリスクを軽減する重要な役割を果たします。

誤嚥性肺炎口腔内の細菌が唾液や食物と一緒に肺へ落ちると危険
心疾患への影響・歯周病の細菌によって動脈硬化を促進 ・心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる
糖尿病の悪化病状のコントロールが難しくなる

口腔内の健康状態の悪化は、このような重大疾病のリスクを増大させます。

高齢者や寝たきりの患者にとって、誤嚥性肺炎は重大なリスクです。口腔内の細菌が唾液や食物とともに肺に入り込むことで発症します。

また、口腔内の炎症が心疾患に悪影響を与えることもあります。

歯周病の細菌が血流に入り込むと、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があるためです。

特に、高齢者や心疾患の既往歴がある患者様にとっては、口腔ケアが重要な健康管理の一環になるでしょう。

さらに、歯周病は糖尿病のコントロールを難しくするだけではなく、糖尿病が歯周病を悪化させるという困った相互関係があります。

どちらも放置していると重大な事態を招きかねないため、適切なケアが必要です。

このような健康リスクを避けるためにも、訪問歯科によるケアで口腔内の細菌を減少させ、リスク回避をしながら健康を守っていきましょう。

生活の質が向上する

訪問歯科は、以下のように患者の生活の質(QOL)を向上させるためにも重要な役割を果たします。

口腔内の健康状態を改善することにより、心の健康も身体の健康も促進される可能性が高くなるでしょう。

生活の中で感じていたストレスの軽減を実感し、安心して前向きな生活を送りやすくなります。

訪問歯科で「8020運動」への取り組みを

自分の歯をチェックするシニア男性の画像

通院が難しく、口腔内のケアがおろそかになってしまうことが多い人にとって、訪問歯科は健康を守る大切な選択肢であることが分かりました。

さらに「もっと歯を大切にしたい」と考えるのであれば、「8020運動」も訪問歯科と二人三脚で進めてみてはいかがでしょうか。

ここでは、8020運動の概要や訪問歯科のサポートなどについて紹介します。

8020運動とは?

8020運動は、1989年に日本歯科医師会と厚生労働省が提唱した以下のようなキャンペーンです。

加齢とともに歯を失うことは避けにくく、生活の質の低下にもつながります。

このキャンペーンでは80歳になっても自分の歯を20本以上保つため、口腔内ケアに積極的に取り組むという主旨を持っています。

この8020運動の背景は「健康な歯は食生活や生活の質に直結する」という考え方です。

自分の歯を多く保つことで、高齢になっても噛む力を維持し、食事を楽しみながら円滑な栄養摂取をしやすくなるため、全身の健康増進・維持につながると期待されています。

8020運動の成功には定期的な歯科検診と適切な口腔内ケアが不可欠です。特に高齢者や通院が難しい人にとってはサポートが必要になります。

訪問歯科は通院が難しい人々に対して継続的・定期的なケアを提供できるため、8020運動の目標達成にうってつけの存在になるでしょう。

訪問歯科の利用で8020運動の効果がアップする

訪問歯科は通院が困難な患者様を自宅や施設で診療・治療できるため、8020運動に大きな貢献を果たします。具体的には以下のようなことが行われます。

通院が難しい場合でも、訪問歯科の定期的な訪問により、口腔内の健康状態を維持しやすくなります。

定期的なチェックはむし歯や歯周病の予防や早期発見に欠かせません。患者様1人1人の状態に合わせながら、健康維持をサポートします。

むし歯などの疾患治療や入れ歯の作成・調整も、専門家だからこそできる的確な判断と技術で安心です。

そのほか、効果的な歯ブラシの仕方や歯間クリーニングの方法など、ホームケアのアドバイスが受けられることも大きなメリットでしょう。

訪問歯科はご自身だけではなくご家族や介護の人も同席できるため、普段のお世話の中で活用することができます。

若いうちからの取り組みも効果的

8020運動の取り組みは、若いうちから始めるとさらに効果が期待できます。早めに口腔ケアに取り組むことで、将来的に残る歯の数が多くなる可能性が高まるでしょう。

特に最近は20代の70%が歯周病にかかっていると言われており、将来的な歯の喪失が心配されます。健康な歯を長く維持するためにも、以下のようなことを意識してみてください。

若いうちから定期的な口腔内ケアを受けることで、歯の健康を長期間にわたって維持しやすくなります。清潔感のある口元になり、ご自身の印象そのものをアップさせる効果もあるでしょう。

中には通院が難しい患者様もいるかもしれませんが、専門家のサポートをあきらめる必要はありません。

訪問歯科は年齢制限がなく、若くても通院が難しければ利用可能です。歯の健康を長く大切にしたい患者様はぜひ利用してみてください。

訪問歯科へ相談するタイミングは?

訪問歯科へ相談するタイミングのチェックリスト画像

「訪問歯科を利用したいけれど、歯がどんな状態なら利用してもいいのだろう?」と悩むのではないでしょうか。

答えは「歯の健康を守りたい患者様ならいつでもよい」で、特に難しく考える必要はありません。

訪問歯科は継続的・定期的な訪問で歯の健康を維持することを目的としています。むし歯や歯周病の治療や予防、一般的な定期検診などの希望があれば積極的に利用しましょう。

また、次のような症状が出たら早めの相談をおすすめします。

食事中の違和感・むせやすくなった ・硬いもの、大きなものが食べにくい ・こぼすことが増えた ・よだれが多くなった
入れ歯の状態・口の中に当たって不快 ・ゆるくなって落ちやすい ・合わなくなったような気がする ・食べ物が入れ歯の間に挟まってしまう
歯の状態・歯が欠けた ・歯が抜けた
口臭以前よりも口臭が強くなった

一般的な歯科医院へ足を運ぶ際にも、このような状態がきっかけになる患者様は多いのではないでしょうか。訪問歯科も同様で、相談するタイミングは一般歯科と変わらないと考えておくと分かりやすいでしょう。

「もし歯科医院に嫌がられたら?」「こんな症状で依頼するなんてモンスター患者だと思われそう……」と思う必要はありません。どのような小さな症状でもぜひ相談してみてください。

もしも「何もなかった、健康だった」という診察結果であれば安心できますし、さらにそれがきっかけで、訪問歯科による継続的・定期的なケアをスタートすることにもつながります。

まとめ

訪問歯科は口腔内の健康維持に効果的であるだけではなく、口腔内の細菌が原因で起こり得る重大な病気を防ぎ、全身の健康を守ることにもつながります。

通院ができずに口腔内ケアをあきらめていた患者様も、訪問歯科を利用すれば健康的な口腔内の状態を保ちやすくなり、毎日、そして老後の生活の質にも好影響が出るでしょう。

訪問歯科を初めて利用する時には「こんな理由でいいの?もっとひどいむし歯や歯周病がないと駄目なのでは?」などと思わず、お気軽にご相談ください。

岡崎歯科は訪問歯科に対応しており、幅広い患者様の口腔内ケアをサポートしています。

訪問歯科のご利用を希望する患者様、訪問歯科についてもっと詳しく知りたい患者様など、より多くの患者様のお役に立てれば幸いです。

#訪問歯科治療

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