訪問歯科は1か月に何回まで?回数制限や利用条件とは
訪問歯科は継続的・定期的な訪問によって口腔内の健康を維持する医療ですが、条件によっては1か月の利用回数が決められています。
「1か月に何回訪問してくれるの?」「予約日以外に緊急でかかりたい時はどうすれば?」「保険はどうなる?」など、いろいろな疑問や不安を持つこともあるかもしれません。
1か月の訪問回数やその内容、緊急時にどうするべきかなどを知っていれば、訪問歯科を安心して利用できるのではないでしょう。
この記事では、1か月における訪問歯科の利用回数やその内容、訪問歯科を利用できる人の詳しい条件、保険との関係や緊急時の対応などについて詳しく紹介します。
訪問歯科は1か月に何回まで利用できる?

訪問歯科は1か月のうちに利用できる回数が決められています。ここでは、具体的な回数とその内容などについて説明します。
介護保険利用なら1か月に最大4回までOK
訪問歯科では医療保険と介護保険が併用できるシステムです。
介護保険を利用した場合、訪問歯科は1か月に最大4回まで利用できます。そのうち医師と歯科衛生士は訪問回数が決まっており、それぞれ以下になります。
職種 | 回数/1か月 | 内容 |
歯科医師 | 2回まで | ・むし歯・歯周病などの治療、入れ歯の調整など専門性の高い治療 ・口腔内の健康状態のチェック ・治療計画の立案 ・見直し |
歯科衛生士 | 4回まで | ・むし歯・歯周病の予防など口腔ケア ・口腔内の清掃 ・歯磨きの指導 ・義歯の手入れに関する指導・アドバイス ・嚥下機能に関する指導・アドバイス ・その他多数 |
歯科医師が訪問するのは1か月で最大2回までになっており、診断や治療が必要とされる場合がほとんどです。
例えば、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の調整や作成など、歯科医師のみができることが含まれます。長期的な治療が必要な疾患があれば、その治療計画を立てるのも医師の仕事です。
一方、歯科衛生士は1か月に最大4回で、歯のクリーニングや口腔内の衛生指導、口腔ケア用品の選び方のアドバイスなど、日常的な口腔ケアや予防的な処置についての分野を担当します。
なお、訪問歯科で介護保険を使う場合は「居宅療養管理指導」の項目に該当し、ケアプランの作成が不要です。
そのため、「ケアプランはもう限度額がいっぱいで……」とご心配の方でも、すでに使っている介護保険サービスを減らすなどの調整をせずに利用できます。
詳しくは自治体の窓口やケアマネジャーに質問してみてください。
医師と歯科衛生士の役割

訪問歯科では、医師と歯科衛生士がそれぞれ異なる役割を担当しています。ここではそれぞれの役割について詳しく紹介します。
歯科医師が訪問歯科でできること
歯科医師は、診断、治療、手術など高度な医療行為を行います。具体的には以下の内容が多くなります。
- むし歯や歯周病の治療
- 入れ歯の作成・調整・修理
- その他口腔内の健康維持に関する治療
「本格的な治療は訪問歯科では難しいのでは?」と不安になるかもしれませんが、その心配はご無用です。
訪問歯科でも歯科医院とほぼ同じ治療をするために必要な機材を持参して、必要であればレントゲン撮影のように高度な医療行為もその場で行います。
もしも訪問歯科では対応できない症状があれば速やかに方針を転換し、必要な治療が受けられる手配も可能です。
「自宅」と「歯科医院」では勝手が違い、医療内容に差が出るのでは……という心配はごもっともです。
しかし、訪問歯科では可能な限りその差をなくし、必要な医療を届けるシステムが確立されています。
岡崎歯科でもすべての人に必要な医療を届けるため、訪問歯科に力を入れております。どうぞお気軽にご相談ください。
歯科衛生士が訪問歯科でできること
歯科衛生士は日常的な口腔ケアや予防処置などを担当します。例えば以下の内容が一般的です。
- 口腔内のクリーニング
- 衛生指導
- 口腔内ケア用品の選び方についてのアドバイス
- その他口腔内の健康維持に関すること
歯科医師と異なり、むし歯や歯周病の治療などの医療行為はできませんが、歯科衛生士の訪問により患者さんは家にいながら定期的なケアが受けられるため、口腔内の健康を維持しやすくなります。
また、患者さんご本人だけではなく、そのご家族にも口腔内を健康に保つための衛生指導を行い、正しいブラッシング方法やケアのポイントを学んでもらうことも仕事です。
口腔ケア用品の選び方についても歯科衛生士がアドバイスを行います。
患者さんの状態に応じた歯ブラシや歯磨き粉の選び方、デンタルフロスやマウスウォッシュの使用方法など、ご家庭で取り入れやすい方法を提案しているため、ぜひ実践してみてください。
訪問歯科の対象にならない治療内容は?
訪問歯科では一般的な治療のほとんどが行われますが、一部の治療は対象外です。例えば以下のケースは対応できないことになっています。
- 埋伏歯の抜歯
- インプラント治療
- 全身麻酔
埋伏歯の抜歯やインプラント治療のように、手術をともなう治療は訪問歯科では対応できません。このような治療が必要になる場合、専門の設備やスタッフが必要なため、歯科医院で行うことになります。
また、全身麻酔を必要とする治療も訪問歯科では実施できません。
歯科で全身麻酔をともなうような大がかりな手術は少ないのですが、例えばあごの変形が一般的な歯列矯正では不可能な場合、外科的矯正治療へ移行するケースがあります。
その際は全身麻酔が必要であり、入院・手術のほか専門スタッフによる術前・術後管理が必要になるため、訪問歯科では対応が不可能です。
しかし訪問歯科以外での対応が可能な症例であり、必要性があれば、患者さんやご家族と相談の上で治療を進めていくことができます。
訪問歯科の利用条件「通院が困難」とは?

訪問歯科は回数制限があるものの、一般の歯科通院とほぼ同様の治療が受けられるため、外出が難しい人にとって便利な利用サービスです。
しかし、人によっては「自分は利用できるのか」と判断に迷うかもしれません。ご自身が以下の条件にあてはまるかどうかを考えてみてください。
- 身体機能のおとろえで外出が難しい高齢者
- 寝たきりで外出できない
- 持病や病気の後遺症で通院が難しい
- 精神的な事情で通院が難しい
訪問歯科はこのような方々が利用でき、1か月の利用回数はすべての条件で最大4回です。受けられるケアの内容にも差はありません。
また、「訪問歯科=高齢者向け」というイメージがあるかもしれませんが、実際は年齢制限がなく、通院が難しいすべての方が受けられます。
極端な話、100歳の高齢者の方でも0歳の赤ちゃんでも、通院が困難であれば同様に利用できるのです。
ご自身に必要だと感じたら条件を照らし合わせ、訪問歯科へ対応している歯科医院へ連絡してみてはいかがでしょうか。
決まった回数の中でも適切なケアが可能

訪問歯科は、決まった回数の中でも適切なケアを提供することが出来る医療サービスです。保険診療として1か月に最大4回の訪問ができ、この回数内で患者さんに必要な口腔ケアを行います。
ここでは訪問歯科を利用する具体的なメリットや、緊急時の対応、誤嚥性肺炎の予防について詳しく説明します。
訪問歯科を利用するメリット
訪問歯科を利用する最大のメリットは、通院が困難な患者さんが自宅で質の高い歯科ケアを受けられることです。
高齢者の方や身体に障がいがある方、または長期にわたり病床にある方にとって、外出は大きな負担となるでしょう。
訪問歯科では歯科医師や歯科衛生士がご自宅を訪問し、必要な治療やケアを提供します。患者さんは外出のストレスや移動の負担を軽減でき、リラックスした状態で治療を受けることができます。
また、訪問歯科は患者さんのライフスタイルに合わせたケアが可能です。
例えば、患者さんの口腔内の状態や生活習慣を詳しく把握し、ブラッシング指導や食生活についてのアドバイスなどができます。
一人一人のライフスタイルに合わせながら対策できるため、口腔内の健康をより維持しやすくなるでしょう。
緊急時は往診で対応できることも
「訪問歯科の回数を使い切ってしまった、でも緊急の痛みが……」などの緊急時には、訪問歯科ではなく往診での対応が可能な歯科医院もあります。
訪問歯科と往診は、似ているようで異なるサービスであり、以下のような違いがあります。
- 訪問歯科:継続的・定期的なケアで口腔内の健康をサポート
- 往診:緊急時に駆け付けて諸症状に対応
訪問歯科と異なり、往診には「1か月に何回まで」という利用制限はありません。往診に対応している歯科医院があれば、緊急時に連絡してみてください。
また、このような往診で訪問歯科の利用回数が減ることはありません。双方の回数は無関係ですので、悩みすぎず、必要に応じて必要な治療を受けましょう。
往診の可否や細かい条件などは歯科医院によって異なるため、かかりつけの歯科医院があれば前もって調べておくと安心です。
誤嚥性肺炎などの予防にも最適
訪問歯科は誤嚥性肺炎の予防にも非常に効果的です。
誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が誤って肺に入ることによって発症する肺炎の一種です。特に高齢者の方や病気で体力が低下している方に多く見られます。
訪問歯科では定期的な口腔ケアを通じて口腔内の細菌を減少させられるため、誤嚥しても発症するリスクを低減することができます。
また、訪問歯科では前述の通り、患者さんやご家族に対して日常的に取り入れやすい口腔内ケアの方法をアドバイスすることも仕事です。
アドバイスを取り入れていただければ、患者さんご自身やご家族も積極的に口腔ケアを行えるようになり、誤嚥性肺炎に対して効果的な予防ができるようになるでしょう。
まとめ
訪問歯科は保険診療であれば1か月に最大4回まで利用が可能であり、通院が困難な方であれば年齢制限はありません。
診察・治療などは通院とほぼ同じ内容ですが、埋伏歯の抜歯やインプラント治療のように手術をともなう治療はできないため、必要な場合には歯科医師と相談してみてください。
訪問歯科のメリットは多く、口腔内の健康の維持により、生活の質の向上や誤嚥性肺炎の予防などにつながります。健康的な生活を楽しむためにも口腔内のケアをあきらめず、訪問歯科で管理していきましょう。
岡崎歯科ではすべての人に必要な医療を届けたいという思いから、訪問歯科にも力を入れています。通院が困難で口腔内ケアに悩んでいる方は、ぜひ当院にご相談ください。
#訪問歯科 #嚥下