口腔機能向上は摂食・嚥下に好影響!お口の衰えのサインと改善法

加齢とともに口腔機能は衰えはじめ、食事のしにくさや飲み込みにくさ、話にくさなどを感じるようになります。

しかし、「歳を取ったらそんなものだ、仕方ない」と考えるのはもったいないことです。

口腔機能は毎日の手軽なトレーニングで向上する可能性があり、食事や滑舌のほか、日常生活に好影響をもたらします。

逆に、口腔機能の衰えの放置は生活の質を落とす可能性があるため、衰えを感じるサインがあれば積極的に対応してみてはいかがでしょうか。

この記事では、口腔機能の衰えによる問題や、改善することによって生まれる摂食・嚥下などへの好影響、家庭でも手軽にできるトレーニング方法などについて紹介します。

口腔機能の健康を維持する重要性

歯科医療器具と歯の模型

口腔機能は加齢とともに衰えやすく、放置していると日常生活でさまざまな悪影響が出てしまう可能性があります。

ここでは、口腔機能の衰えを示すサインや、衰えによって起こる悪影響について紹介します。

こんな症状は口腔機能が衰えているサイン

口腔機能の衰えは高齢者の方に多く、衰え始めるといくつかのサインを示すようになります。以下のようなサインに気づくようになった場合、注意が必要です。

このような状態は、口腔機能の衰えを示している可能性があり、気づいたら早めの対処が必要です。「年齢のせいだから」「みんなそうだから」と、放置することはおすすめできません。

後ほど詳しく紹介しますが、口腔機能は自宅でできる簡単なトレーニングで改善・維持が可能です。

健康的な生活を楽しむためにも、トレーニングを取り入れた生活を意識してみませんか。

口腔機能の衰えが招く「オーラルフレイル」

口腔機能の衰えは「オーラルフレイル」の原因です。

オーラルフレイルとは、「Ora(口腔)」と「Frailty(虚弱)」を組み合わせた言葉で、口腔機能の衰えによって心身両面に悪影響が出ることを指しています。

例えば、食事が取りにくくなり低栄養になってしまうことが代表的です。

低栄養状態が続くと身体全体の機能が衰え、体力や免疫力が低下してしまいます。

体力や免疫力の低下は、病気にかかりやすくなる心配が生じるだけではなく、外出に苦労を感じるようになる可能性もあります。

外出の機会が減ることによって社会活動への参加や地域の人々とのコミュニケーションが減少し、精神的な健康にも悪影響を及ぼす恐れが生まれるでしょう。

オーラルフレイルの対策として口腔機能を維持することは、心身の健康を保つためにもぜひ意識したいことです。

早期発見により適切な対応を取れば改善できる可能性が高いため、前述したサインや気になる症状があれば早めに専門家へ相談してみてください。

口腔機能の低下は誤嚥の可能性も高めてしまう

飲み込みにくさを感じる口腔機能の低下は、摂食・嚥下機能の低下でもあります。進行すると飲食物をうまく飲み込むことがさらに難しくなり、誤嚥のリスクも高まってしまいます。

誤嚥とは、食べ物や飲み物が誤って気道に入ってしまうことで、窒息や肺炎の原因になることもある危険な状態です。

特に高齢者の方は、誤嚥によって誤嚥性肺炎のリスクが高まり、重大な健康被害を招く可能性もあるとして知られています。

誤嚥性肺炎の防止のためにも、やはり口腔機能向上は欠かせないものになるでしょう。

口腔機能向上が摂食・嚥下に与える好影響

笑顔の高齢女性

口腔機能の向上は、毎日の生活の中で自然に行われる「食べる・飲み込む」という動作に好影響をもたらします。ここでは、口腔機能向上によって現れる、摂食・嚥下への好影響について紹介します。

飲食中の誤嚥を防ぎやすくなる

口腔機能が向上すると、飲食中の誤嚥を防ぎやすくなります。前述の通り、誤嚥とは飲食物が誤って気道に入ることであり、窒息や誤嚥性肺炎のリスクを高めるものです。

口腔機能の向上は、飲食物を正確・安全に飲み込む力が強化され、誤嚥のリスク減少につながります。具体的には以下のようなトレーニングを取り入れてみるとよいでしょう。

後ほど詳しく紹介しますが、このようなトレーニングは口腔機能を向上させ、安全な食事を楽しみやすくなります。

食事の楽しみを失わずに済む

口腔機能の向上は、安全に食事ができるようになるため、飲食の楽しみを維持できるメリットもあります。

口腔機能が低下すると食事が困難になり、食べる喜びが減少してしまう方も多いでしょう。しかし、口腔機能を鍛えることによって、硬い食べ物やさまざまな食材を再び楽しめるようになります。

噛む力や飲み込む力を強化するトレーニングを取り入れ、幅広い料理や飲み物を安全に楽しめるようになれば、飲食の満足度を高めやすくなるでしょう。

飲食の満足度は健康維持にも大きな役割を果たします。

栄養をバランスよく摂取できることや、食事を楽しめるという満足感などは、心身ともに健康的な生活を送るために欠かせない喜びです。

脳への刺激や血流の増加が期待できる

口腔機能の向上は、脳への刺激や血流の増加が期待できる一面があります。口を動かすことは、脳に直接的な刺激を与え、神経活動を活性化する効果があるためです。

また、噛む動作は顔や頭部の血流を促進し、全身の血液循環にも好影響を与えます。

このような好影響は認知機能の維持や向上も期待できるため、高齢者の方にとっては特に重要な意味があるでしょう。

自宅でもできる口腔機能向上トレーニング

医療従事者の女性と高齢男性

「口腔機能向上のためにトレーニングを!」と言われると、難しそうで腰が引けてしまうかもしれませんが、実際は自宅でも手軽にできるものも多数あります。

ここでは、自宅でもできる口腔機能向上トレーニングをいくつか紹介します。以下の各運動を参考にしてみてください。

口のトレーニング口をすぼめ、「イー」と言うように横に開く
頬のトレーニング頬を膨らませて、すぼめる
舌のトレーニング1:舌を片側の頬の内側に押し付け、指で頬の上から押さえる 2:指で頬が潰れないように舌で押し返す 3:反対側の頬で同じことをする

このほか、口腔機能を向上させるトレーニングは数多くあります。

効果を期待してトレーニングをすることはもちろん大切ですが、何よりも「無理をせず、自分のペースで」進める気持ちも大切です。

楽しみながらできそうなトレーニングを見つけて、毎日少しずつでも続けていきましょう。

歯科医院の定期検診でも口腔機能をチェック

歯科医療器具

口腔機能の向上や口腔内の清潔維持には、歯科医院での定期検診も役立ちます。

ここでは、歯科医院の定期検診によってどのようなメリットがあるか、通院が難しい場合でも定期検診が受けやすい訪問歯科などについて紹介します。

歯科医院で口腔内の健康維持を

歯科医院で定期的に検診を受けることによって、歯科医師や歯科衛生士が口腔内の健康状態を観察できます。

オーラルフレイルのサインに初期で気付ける可能性も高いため、ぜひ定期検診へお越しください。

オーラルフレイルのサインチェックのほか、定期検診では以下のようなこともできるため、口腔内の清潔維持に役立ちます。

むし歯や歯周病は口腔内の清潔を損ね、歯の喪失の恐れもある症状です。また、歯周病菌は認知症の原因になるため、高齢者の方は特に注意するべきでしょう。

家庭でできるセルフケアについて指導を受けられるのも、定期検診のメリットです。普段は意識していない部分の磨き残しや、効果的なブラッシング方法などが学べます。

また、高齢者の方でユーザーが多い入れ歯に関しても、定期検診で確認できます。

合っていない入れ歯、壊れている入れ歯は飲食に問題が起きやすく、誤嚥につながることもあります。ご本人にフィットし、安全に使える入れ歯を整えるためにも、定期的に歯科医院で検診を受けましょう。

通院が難しければ訪問歯科の利用もおすすめ

住んでいる地域や個人の事情によっては、定期的な通院が難しいという患者さんもいるでしょう。

その際には、自宅に歯科医師や歯科衛生士が直接足を運んで診察する、訪問歯科の利用を検討してみませんか。訪問歯科には以下のような特徴があります。

訪問歯科は歯科医師が「通院が困難な方」と認定すれば、基本的に誰でも利用できます。詳しい条件などは歯科医院やケアマネジャー、自治体の窓口などで確認してみてください。

保険診療対象の治療であれば医療保険が利用できたり、居宅療養管理指導費が発生する場合は介護保険の適用も可能であったりするため、費用面での負担も軽減できるでしょう。

歯科医師や歯科衛生士による定期的な検診・指導は、オーラルフレイル対策や口腔内の清潔維持に役立ちます。通院が難しくてもあきらめず、積極的な利用をおすすめします。

岡崎歯科でも訪問歯科に力を入れており、多くの患者さんのご自宅までお伺いしています。

「今までは通院していたけれど、最近難しくなったので訪問歯科に切り替えたい」とお考えの患者さんにも対応が可能なため、お気軽にご相談ください。

まとめ

口腔機能の衰え(オーラルフレイル)は、加齢だからといってあきらめるのはおすすめできません。

衰えが進み、摂食・嚥下に大きな困難を感じるようになれば、心身に悪影響が出る可能性が高く、生活の質が下がってしまいます。

口腔機能を向上させるトレーニングや、歯科医院での定期検診などを生活の中に組み込み、オーラルフレイルを遠ざけ、口腔内の清潔を保っていきましょう。

岡崎歯科では口腔機能の衰えに対するお悩みや対策、定期検診による口腔内の衛生維持などについて幅広くご相談いただけます。通院が難しい方は当院による訪問歯科もご利用可能です。

「歳を取ればみんなそうだから……」とあきらめず、楽しい食生活を楽しみ、生活の質を維持するためにも、歯科医院と二人三脚でケアを進めていきましょう。

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