誤嚥性肺炎とその予防法は?歯科医院との二人三脚で安心を高めよう
高齢者が亡くなる原因として上位に入る誤嚥性肺炎は、日頃からの予防がとても重要です。そのためにできることはさまざまですが、ご本人やご家族と歯科医院の連携も予防につながります。
しかし、「そもそも誤嚥性肺炎の詳細を知らない」「歯科医院との関わりが分からない」という人もいるでしょう。
誤嚥性肺炎や歯科医院との連携による予防について詳しく知っておけば、予防の効果が上がり、より健康で安心した生活につなげられます。
この記事では、誤嚥性肺炎の概要や高齢者が誤嚥性肺炎にかかることのリスク、予防法や歯科医院との関わりなどについて詳しく紹介します。
誤嚥性肺炎とは?

誤嚥性肺炎とは、加齢などによる嚥下機能(飲み込む力)の低下が引き起こす病気です。予防のためには歯科医院との連携が効果的で、多くの歯科医師が力を入れています。
ここでは、誤嚥性肺炎の定義や原因、歯科医院との関わりなどについて紹介します。
誤嚥性肺炎の定義と原因
誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管に入り、口腔内に存在する細菌が肺に達することで引き起こされる肺炎のことです。
通常、飲食物や唾液は食道を通って胃に運ばれますが、誤嚥が起こると、これらが気管に入り込み、細菌が肺で繁殖して炎症を引き起こします。
特に発症が多いとされるのは以下の方々です。
- 嚥下機能が低下した高齢の方
- 脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの方
- 寝たきりの方
嚥下機能の低下はこのような方々に見られ、誤嚥性肺炎も起こりやすくなっています。
該当する方やご家族は、可能な範囲で適切な予防法を取り入れ、発症リスクを減らしていきましょう。
誤嚥性肺炎の症状と診断方法
誤嚥性肺炎は風邪の初期症状と似ているため、「元気がない」「ぼうっとしている」「咳き込む」などの様子にも注意していただきたい病気です。
また、以下の症状が見られたら、可能な限り早く医療機関を受診するようにしてみてください。
- 発熱
- 咳
- 痰
- 呼吸困難
- 胸痛
診断は患者さんの病歴や症状、身体検査、X線検査、血液検査などを総合的に評価して行われます。嚥下機能の評価も重要で、嚥下検査が行われることもあります。
前述の通り風邪の初期症状と似ており、早期発見が難しいため、発症リスクが高い方は定期的な検査も視野に入れてみてください。
歯科医院と誤嚥性肺炎の関係は?
誤嚥性肺炎の発症リスクには、年齢、慢性疾患、神経疾患、嚥下障害、口腔衛生の悪化などが挙げられます。歯科医院はこの中の口腔衛生の悪化を予防するためのサポートが可能です。
高齢者は嚥下機能が低下しやすく、また慢性疾患や神経疾患を抱えていることが多いため、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
さらに口腔内の細菌が増殖すると、誤嚥が発生した際に肺に細菌が入り込みやすくなるため、口腔衛生の維持が非常に重要です。
このようなリスクを理解し、日常的な予防に努めるためには、歯科医院との連携は重要な選択になります。
岡崎歯科でも誤嚥性肺炎の予防には力を入れており、通院をはじめ、ご自宅などへうかがう訪問歯科などでも対応しています。発症リスクがご心配な方はぜひ一度ご相談ください。
歯科医院における誤嚥性肺炎の予防方法

多くの歯科医院では誤嚥性肺炎の予防に力を入れており、さまざまな方法でご本人やご家族と関わっています。
ここでは口腔ケアの重要性や歯科医院の役割、防止法として役立つ生活習慣の改善や栄養管理などについて紹介します。
日常の口腔ケアの重要性
誤嚥性肺炎を予防するためには、日常の口腔ケアに力を入れることが効果的であり、以下のようなメリットがあります。
- 口腔内における細菌の繁殖を抑えやすくなる
- 誤嚥時に肺へ落ちる細菌の量を減らせる
口腔内の清潔を保つことにより、細菌の繁殖を抑え、誤嚥が起こった際に肺に入り込む細菌の量を減らせます。
誤嚥性肺炎は誤嚥時に細菌が肺へ到達することが発症の原因になるため、口腔内の細菌を減らす予防法は大きな効果が期待できるでしょう。
そのためには歯科医師や歯科衛生士による定期的な口腔内クリーニングのほか、毎日の歯磨きや舌の清掃、うがいの習慣化が大切です。
このような習慣は誤嚥性肺炎の防止に効果的であるだけではなく、清潔な口腔内で気持ちよく過ごせるメリットも生まれます。
歯科医師・歯科衛生士によるケアの役割
歯科医院での専門的なケアは誤嚥性肺炎の予防に欠かせません。
歯科医師や歯科衛生士による口腔内の定期チェックやクリーニングは、家庭でのケアでは取り切れない汚れや歯石を除去して細菌を減少させ、口腔内の健康を保つ助けとなります。
また、嚥下機能の確認や必要に応じたリハビリテーションの指導も可能であり、より効果的に誤嚥性肺炎を予防できるようになるでしょう。
中には「身体機能がおとろえて移動が難しい」「寝たきりで外出できない」など、通院できないご事情もあるかもしれません。
その際もあきらめるのではなく、訪問歯科の利用をご検討ください。
訪問歯科は高齢者だけではなく、通院が難しい方々であれば利用可能です。治療内容によっては介護保険が適用されるケースも多いため、より多くの患者さんにご利用いただけます。
生活習慣の改善と栄養管理
歯科医院によるサポートとは少し外れる部分もありますが、生活習慣の改善や栄養管理も誤嚥性肺炎の予防に重要です。
規則正しい生活習慣を維持し、栄養バランスの取れた食事を摂ることで、全身の健康を保ちやすくなります。具体策としては以下の方法がおすすめです。
- 食事はゆっくり噛んで食べる
- 栄養管理のアドバイスを受ける
このような方法は誤嚥や健康状態の悪化のリスクを減らす重要な習慣です。
歯科医師は定期的な検診で歯の状態や嚥下機能に気を配り、「食事で飲み込みにくさを感じていないか」「よく噛めているか」などに注目して食事や栄養管理をサポートします。
歯科医院でできる具体的な対応とは

歯科医院ではさまざまなサポートを行います。ここでは多くの歯科医院において、具体的に提供できるサポート内容について紹介します。
口腔内の定期チェックの重要性
歯科医院での定期チェックは、誤嚥性肺炎の予防において非常に重要です。
定期的な口腔内の検査では歯や歯茎の状態など、飲み込みに関する機能を幅広く確認し、誤嚥性肺炎をはじめとした異常の早期発見が可能になります。
定期的なチェックを通して適切なケアや治療を受けることができるため、誤嚥性肺炎のリスクを大幅に減らす可能性が高まるでしょう。
専門的なクリーニングと治療方法
歯科医院での専門的なクリーニングと治療は、家庭でのケアだけでは足りない部分をカバーする効果があります。
また、誤嚥性肺炎の予防には虫歯や歯周病の早期発見・治療も重要です。歯科医院で定期的に診察することにより、発症リスクを軽減できるでしょう。
患者さんとそのご家族へのアドバイスやサポート
ご本人やご家族へ対して、誤嚥性肺炎のリスク説明や予防方法についてのアドバイスをすることも歯科医院の役割です。以下のようなアドバイスをぜひ受けてみてください。
- 日常生活で継続的に取り入れやすい口腔ケア
- 適切な食事の取り方
- 嚥下機能を維持するための運動方法
このほか、ご質問や疑問などがあれば歯科医師にご相談ください。多くの歯科医師は具体的な方法を説明し、誤嚥性肺炎をはじめ、患者さんの健康を守るサポートをします。
高齢者の誤嚥性肺炎のリスク

誤嚥性肺炎が特に多いとされる高齢者ですが、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、高齢者の誤嚥性肺炎の特徴や原因、合併症などについて紹介します。
高齢者の誤嚥性肺炎の特徴
高齢者における誤嚥性肺炎は、前述の通り「風邪の初期症状に似ているため気づきにくい」という点が大きな特徴です。
しかし、以下の理由で可能な限り早期発見が望まれます。
- 高齢者は免疫力が低下していることが多い
- そのため誤嚥性肺炎が進行しやすい
多くの高齢者は若い世代よりも免疫力が低下しており、感染症に対する抵抗力が弱くなっています。そのため誤嚥性肺炎が進行しやすく、重篤な状態になるケースも珍しくありません。
また、高齢者はほかにも慢性的な持病を患っていることも多く、そのような病気が誤嚥性肺炎の発症リスクをさらに高める可能性もあります。
このような理由から、高齢者の誤嚥性肺炎は早期発見と予防が特に重要になるでしょう。
高齢者に多い誤嚥の原因
高齢者に多い誤嚥の原因には、加齢にともなう筋力の低下のほか、複数が考えられます。主に以下の点に注意しましょう。
- 嚥下機能のおとろえ(嚥下力の低下)
- 神経疾患
- 薬の副作用
- 食事中の不注意
嚥下機能のおとろえは、加齢に伴い筋力が低下するために起こり、食べ物や飲み物を適切に飲み込む能力が低下します。脳梗塞やパーキンソン病などの神経疾患も嚥下機能に影響を与える原因です。
また、抗精神病薬や抗パーキンソン薬などの副作用によっても嚥下機能の低下が引き起こされることがあります。
食事中に食道ではなく気管に入ってしまうような誤嚥も大きな原因であり、食事の時には注意が必要になるでしょう。
このような状態だからといって必ず誤嚥性肺炎が起こるわけではありませんが、発症リスクにつながることは確かです。心当たりがある方やご家族は改めて意識してみてください。
誤嚥性肺炎が引き起こす悪影響
誤嚥性肺炎が進行するとさまざまな悪影響が出てしまう可能性が高くなります。特に以下の点は要注意です。
- 敗血症
- 呼吸機能の低下
- 長期入院
- 食欲不振による栄養不良
特に敗血症や呼吸機能の低下は生命の危機に直結する恐れがあり、非常に危険です。このような悪影響の数々は、高齢者や特定の疾患を持つ方々にとってリスクが高く、早期の対応が求められます。
誤嚥性肺炎の予防が重要だと言われていることにはこのような理由があり、ご本人やご家族の積極的な予防が必要です。
日頃から予防を意識するとともに、初期症状に注意して、少しでも異常を感じた時には早めにかかりつけの呼吸器内科や耳鼻咽頭科で受診しましょう。
まとめ
高齢者や特定の疾患を持つ方々に多い誤嚥性肺炎は、進行するとさまざまな悪影響が出るため、早期発見・早期治療が重要です。そのためにはご本人やご家族が予防を意識して生活してみてください。
多くの歯科医院では誤嚥性肺炎の予防に力を入れており、定期的な検診で効果的な予防やアドバイスを行っています。
岡崎歯科でも誤嚥性肺炎の予防を視野に入れた検診や治療を取り入れています。誤嚥性肺炎について疑問やご不安があれば、お気軽にご相談ください。
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