誤嚥性肺炎を予防する食事のしかた&免疫力を上げる食事を紹介
年齢を重ねるにつれて、唾液の分泌量が減ったり噛む力が減ったりすることで、食事中にむせたり咳込んだりすることがあります。
そのような『誤嚥(ごえん)』が原因で起こる肺炎を『誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』と言います。
誤嚥性肺炎は、食事のしかたに気を付けることである程度の予防が可能です。
この記事では、誤嚥性肺炎を予防する食事のしかたに加え、万が一誤嚥が起こっても体内で免疫力が働くような免疫力アップのための食事を紹介します。
食事で病気を防ぎたい方、免疫力アップによって誤嚥性肺炎を防ぎたい方は、ぜひご覧ください。
誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎とは、食道に入るはずの食事・飲み物・唾などが誤って気管に入り込んでしまったことにより、気管支や肺に菌と一緒に流れ込み発症する病気です。
令和4年の『人口動態調査(厚生労働省)』によると、肺炎は死亡原因の5位となっていて、そのうちの9割以上は75歳以上の高齢者、さらに高齢者の肺炎の7割以上は誤嚥性肺炎だとされています。
誤嚥性肺炎の原因はさまざまですが、食事のしかたに気を付けることで予防効果が期待できます。
誤嚥性肺炎を誘発しやすい食事

誤嚥性肺炎は飲み込む力が弱くなっていることも原因の一つですが、実は誘発しやすい食事が存在し、高齢になるにつれて注意が必要です。
ここからは、誤嚥性肺炎を誘発しやすい食事を紹介します。
サラサラした水分
水やお茶といったサラサラしている水分は、粘度がなくスッと流れていってしまうことから、むせやすい物の一つです。
ただし、粘度が高すぎる餅のような物も喉に詰まりやすいメニューとなるため、注意が必要です。
すぐにむせてしまう方は、水やお茶を控えてとろみがあるゼリー状のものがおすすめです。
水分が少ない食べ物
水分には注意が必要ですが、パサパサしたパンやカステラ、クッキーやいも類など口の中でうまくまとまらない物は、少量の水と共に食べるのがおすすめです。
また、口の中にくっつきやすい海苔やわかめなども誤嚥を引き起こす可能性があるため注意する必要があるでしょう。
バラバラしていてまとまらない食べ物
口の中で噛んでもまとまらない、タコ、イカ、タケノコ、レンコンなどのような物は、飲み込みにくい食べ物です。
ピーナッツやごま、大豆なども呼吸と一緒に気管に入り込んでしまうことがあるため、口の中で咀嚼してもバラバラとしてまとまらない物は注意が必要です。
誤嚥性肺炎を起こしにくい食事のしかた

誤嚥性肺炎を防ぐためには、メニューだけではなく食事の方法に気を付ける必要があります。
ここからは、誤嚥性肺炎を起こしにくい食事のしかたを紹介します。
食事にとろみをつける
主食はおかゆにすることや、おかずでバラバラしてしまうようなものには、とろみをつけると飲み込みやすくなり、誤嚥のリスクを軽減できます。
パンの場合も牛乳と一緒に煮込んだパンがゆにすること、麺類はくたくたに煮込んで歯茎でもすりつぶせるくらいの硬さにするのがおすすめです。
そぼろや根菜などはそのままでは飲み込みにくいため、しっかり煮込んだ上でとろみをつけて飲み込みやすい状態にするとよいでしょう。
誤嚥しにくい食材を選ぶ
誤嚥しにくい食材としては、口の中でまとまりやすいある程度粘度のある以下のような物がおすすめです。
- プリン
- 茶碗蒸し
- ポタージュやシチュー
- ヨーグルト
- とろろ
- おかゆ
- 煮込んだうどん
- 温泉卵 など
いつも同じ食事で物足りないと感じる方は、つなぎになる食材として、ゆでてつぶした里芋やすりおろしたレンコンなどを使用して、食事に変化をつけるのもよいでしょう。
食べやすい形にする
食べ物は、出来る限りつぶしたり柔らかく煮たりして、食べやすい形にすることが重要です。
また、異なるかたさの食べ物を一緒に食べると、飲み込みにくさが増すため、異なる食材をまとめる場合はかたさが均一になるよう気を付けましょう。
小さく一口で食べられるように調理すると、前歯の力が弱い方でも食べやすくなります。
姿勢を整えて食べる
食べる際の姿勢にも注意が必要です。背筋を伸ばし、椅子にしっかり腰かけて座ることで、誤嚥を防げます。
背中が丸まっていたり、よく噛まないで飲み込んだりすると、誤嚥の危険性が増すため注意が必要です。
食べるときの姿勢は自分では気付きにくい部分でもあるため、家族や周囲の人が注意して確認するようにしましょう。
食べるスピードにも注意
食事をする際は、ゆっくりと、しっかり咀嚼しながら食べることで、誤嚥性肺炎を予防することにつながります。
早食いしてしまうと飲み込みが不十分になり、誤嚥の危険性が高まるでしょう。
ゆっくり噛むこと、しっかり噛むことを心がけ、急いで食事をしなければならないような状況は避けることが重要です。
免疫力アップも重要!腸内環境を整える食事

誤嚥性肺炎を防ぐためには、腸内環境を整え免疫力をアップさせることも重要です。
ここからは、免疫力をアップさせるような腸内環境を整える食事を紹介します。
誤嚥性肺炎防止のために免疫力アップが重要な理由
誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が食事などと一緒に肺に流れ込むことが原因で発症します。
免疫力がしっかり作用すれば、その状態になっても異物を攻撃できるため、誤嚥性肺炎になるリスクが下がるといえるでしょう。
また、免疫力をアップさせるには、腸内環境を整えることが重要とされています。
体を冷やしすぎたり、野菜が不足していたりすると免疫力が下がる原因になりやすいため、風邪を引きやすくなったなどで免疫力の低下を感じたら、食事に気を付ける必要があります。
水溶性食物繊維
腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌(善玉菌でも悪玉菌でもない菌)の3種類がいますが、これらがバランスよく腸内に存在していることが、腸内環境を整えるために重要とされます。
食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり細菌の繁殖を防いだり、バリア機能を高めたりする働きがあります。
中でも水溶性の食物繊維は、腸内で水分を含むため便を柔らかくする効果があり、便秘にも効果的です。
水溶性の食物繊維は以下のような食品に含まれます。
- 海藻
- ごぼう
- 春菊
- アボカド
- バナナ
- イチゴ
- リンゴ
- 納豆
- 大麦
- もち麦 など
水溶性の食物繊維は意識して摂取しないとなかなか続けられないため、これらの食材を意識して摂取するようにしましょう。
発酵食品
発酵食品の中には、納豆菌、酵母菌、酢酸菌、乳酸菌、麹菌などさまざまな善玉菌が含まれています。
発酵食品を食べると、腸内が弱酸性になり悪玉菌の増殖を抑えるとともに、もともと腸内にある善玉菌の働きをサポートします。
これらは腸内に定着せず排出されるため、発酵食品は毎日食べるのがおすすめです。
発酵食品には、以下のようなものがあります。
- みそ
- ヨーグルト
- 納豆
- キムチ
- 醤油
- チーズ
- 鰹節
- 日本酒
- 焼酎
- ワイン など
毎日食べられるようなものが多いため、意識して発酵食品を摂取するとよいでしょう。
また、さまざまな善玉菌を摂取できるよう、同じものばかりではなくさまざまな発酵食品を食べるのがおすすめです。
オリゴ糖を含む食材
オリゴ糖は、腸内で善玉菌のエサとなって腸内環境を改善させます。ただし、過剰に摂取するとお腹を壊してしまうこともあるため注意が必要です。
オリゴ糖は、以下のような食材に含まれています。
- ごぼう
- 玉ねぎ
- ねぎ
- バナナ
- にんにく
- トウモロコシ
- はちみつ など
甘味料としても販売されているため、原材料を確認して摂取するのがおすすめです。
きのこ類
きのこ類は、低カロリーなうえに食物繊維が豊富に含まれているのが特徴です。中でも、天日干ししたきのこは紫外線によってビタミンDが豊富に含まれています。
ビタミンDは免疫機能を調節する働きがあるため、積極的に摂取したい栄養素の一つです。
きのこ類は、スープ、ソテー、炊き込みご飯などさまざまな料理に使用できるため、常にストックしておくとよいでしょう。
緑黄色野菜
緑黄色野菜には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれています。
- ビタミンA……粘膜を丈夫にする
- ビタミンC……抗酸化作用が高い
- ビタミンE……白血球やリンパ球の働きをサポートする
また、色素成分であるポリフェノールやカロテノイドには、活性酸素を消去する働きがあり、免疫力アップが期待できるのが特徴です。
緑黄色野菜には、以下のようなものが含まれます。
- あさつき
- いんげん
- かぼちゃ
- 小松菜
- サラダ菜
- ニラ
- とうがらし
- ほうれん草
- 芽キャベツ など
これらの野菜は、食物繊維も豊富に含まれているため、免疫機能を高める善玉菌を増やす効果が期待できます。
まとめ
誤嚥性肺炎を予防するためには、口腔内の環境を整えることが重要ですが、同じくらい食事にも注意する必要があります。
食事のしかたや免疫力を高める食事を意識することで、誤嚥性肺炎を防ぐことができます。
食事をするときは正しい姿勢でゆっくり食べることを心がけ、大きさや食事の内容にも注意するとよいでしょう。
また、免疫力をアップさせることで、誤嚥性肺炎のリスクが下がるため、腸内環境を整える食事にも気を配ってみてください。
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誤嚥性肺炎を未然に防ぐには、口腔内のケアが非常に重要です。定期的な歯科医院への通院で口腔内をケアし、健康な体を目指しましょう。
自宅から出られない方のために、訪問歯科も行っているため、興味がある方はぜひ『岡崎歯科』までお気軽にお問い合わせください。
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