親知らずが頭痛の原因?抜いた方がいい?その他の問題点や対処法も紹介
偏頭痛など原因不明の頭痛に悩まされている人は多いと思います。
検査しても何も異常がない頭痛は、もしかしたら親知らずが原因かもしれません。
この記事では、親知らずがなぜ頭痛を引き起こすのか、対処法や抜いた方がいいケース、親知らずを抜いた場合の注意点などを紹介します。
親知らず以外の歯が原因の頭痛なども紹介するため、参考にしてください。
親知らずとは

親知らずは智歯ともいい、10代後半~20代くらいに生えてくる一番奥の永久歯のことで、昔はきちんと使っていた歯です。
昔の人々は木の実や穀物・動物の生肉などの固いものを、強い力で噛んで食べていたため、現代人よりも発達していた顎の骨に、親知らずが生える十分な空間がありました。
そのような昔と比べて現代の食事は柔らかい物が多く、顎の発達も親知らずを使う必要もなくなったため、親知らずが生える空間も確保できなくなりました。
今では歯茎に埋まったままだったり、なかには親知らず自体がなかったりする人もいます。
『親知らず』の語源は4つあります。
- 永久歯は通常乳歯が抜けたあとに生えてくるが、何もない場所に急に生えてくることから、親知らずと呼ばれる説
- 寿命が50歳未満の昔は、最後の永久歯が生えてくる頃には親が亡くなっていたことからという説
- 親が子どもの歯の管理をしなくてよくなってから生える歯だからという説
- 生えてくるのが遅いため、誰にも(親にも)気づかれないからという説
- 英語で『wisdom tooth』。思慮が養われ知恵がついてきた頃に生えるからという説
しかし、昔はまっすぐ生えていた親知らずが、斜めや横に向かって生えて隣の歯を圧迫するなどの問題を起こす場合があります。
虫歯や歯周病、噛み合わせの問題などはそのままにしていても解決しないため、歯として機能する親知らずではない場合、抜歯を勧められます。
親知らずが頭痛を引き起こす原因

親知らずは時として頭痛を引き起こす原因となります。
親知らずがどのようにして頭痛を引き起こすのかを紹介します。
噛み合わせ
親知らずがあると、全体の噛み合わせが悪くなったり狂ってしまったりする場合があります。
親知らずは他の歯のようにまっすぐ生えるとは限らず、横向きに生えて隣の歯を押したり、上下4本全て生え揃うとは限らないため噛み合う歯がなかったりします。
こうして起こる噛み合わせの変化が、筋肉のバランスが崩れたり、こめかみの部分が緊張したりして、頭痛を引き起こす原因です。
噛み合わせの悪さは他にも、肩や首の凝り・顎の疲れなどを引き起こし、その連鎖が頭痛の原因になる場合もあります。
虫歯
奥歯のさらに向こうの狭いスペースに斜めや横向きに生えてくる親知らずは、汚れが溜まりやすく歯ブラシも届きにくいため、虫歯になりやすい歯です。
歯肉に覆われているなど、虫歯になっても気付きにくいため、治療が遅れて悪化し神経まで侵されるケースが多く、上顎洞炎を引き起こす場合もあります。
歯の神経と頭部の神経は場所が近いため、虫歯によって頭部の神経を刺激し頭痛になることも。
普通の歯ブラシでは親知らずに届かない場合もあるため、ヘッドが小さなブラシや、毛束が一つのタフトブラシなどを使えば、親知らずをしっかり磨けます。
歯肉炎・歯周病
親知らずが原因で歯肉炎になることがありますが、悪化して歯周病になり膿が顎の奥まで入り込んでしまうと、頭部の神経にまで広がって、頭痛を引き起こすことがあります。
親知らずは上述したように、スペースが確保できずに斜めや横向きに生えることも多く、歯肉に覆われている場合もあるため、汚れや細菌が溜まって歯肉炎になりやすい歯です。
酷くなると頭痛だけでなく、口が腫れて開きにくくなったり、歯肉炎をきっかけに全身に感染が及んだりすることもあるため注意が必要です。
歯の外傷
寝ている間の歯の食いしばりや歯ぎしり、転倒や衝突などの強い衝撃などでの歯の外傷が原因で、頭痛を引き起こす場合があります。
特に歯ぎしりは起きている間に起こっていても本人に自覚がないことが多く、治療には及ばないケースもあります。
歯ぎしりで頭痛がする場合の特徴は、頭をギュッと締め付けられたり、グッと圧迫されたりするような傷みです。
起床時に頭が重くスッキリしない症状や鈍痛がある、日中の噛みしめで夕方から夜間に頭痛があるなど、心当たりのある人は一度歯科医に相談してみましょう。
親知らずが原因での頭痛の対処法

親知らずが原因の頭痛を軽減する方法を紹介します。
症状は頭痛でも、頭ではなく歯にアプローチすると治まる場合があります。
しかしここで紹介するのは一時的な対処法のため、早めに歯科を受診し根本に対処しましょう。
頭ではなく、親知らずを冷やす
原因として親知らずが疑わしいのであれば、冷たいタオルなどを使用し、親知らずを冷やしてみましょう。
氷を口の中に入れて冷やすのも効果的ですが、虫歯が原因の場合は冷やすと逆効果になるため、頬の外から冷やすのがおすすめです。
市販の鎮痛剤を使用する
痛みが強いときは免疫力が低下していることが多く、逆に強い痛みのストレスで免疫力が下がる場合もあるため、市販の痛み止めを服用して速やかに鎮痛しましょう。
主な市販薬の鎮痛成分別の特徴は以下の通りです。
- ロキソプロフェン……非ステロイド性。胃に優しく効きが早い
- イブプロフェン……痛みに「よく」効く
- アセトアミノフェン……胃に優しく眠くならない。他の薬と併用できる場合がある
しかし痛み止めは一時的な対応であり根本の治療にはならないため、早めの歯科受診をおすすめします。
口内をきれいにする
口のなかの汚れは痛みの原因となるため、きれいにすることで痛みが軽減する場合があります。
軽い汚れであれば歯磨きが効果的ですが、炎症が強いと逆に痛みが増してしまう場合があります。
刺激の少ないノンアルコールのうがい薬で口をゆすぐなど、口内を清潔に保ちましょう。
歯科医に相談する
頭痛がするほどの症状がある場合は、虫歯にしろ歯肉炎にしろ、状態が相当悪化していると思っていいでしょう。
歯科では他の原因の有無も確認してからの治療になるため、親知らずだからといってすぐに抜歯とはなりません。
原因を早く知るためにも、歯科医に相談し、いつからどのような症状があるのか聞いてもらいましょう。
抜いた方がいい親知らずとは?

抜いた方がいい親知らずについて紹介します。一般的には横向きまたは斜めに生えている親知らずは抜歯をすすめられることが多いです。
そして、親知らずを抜歯したことで長年の頭痛、特に偏頭痛が治ったというケースを多く聞きます。
抜いた方がいい親知らずにはどのような症状があるのか、どのようなリスクの可能性があるのか、参考にしてください。
腫れ・痛みがある
親知らずが虫歯や歯周病・歯肉炎になり腫れや痛みを繰り返しやすいのは、その生え方や噛み合わせの悪さが原因です。
また、埋まっている親知らずでも上の歯との噛み合わせの刺激で、唾液中の細菌に感染する『智歯周囲炎』を引き起こします。
こういった症状は、中途半端に生えている親知らずに原因があるため、抜いた方がいいケースです。
歯並びに悪影響がある
親知らずは横向きや斜めに生えてくることが多く、隣(手前)の歯をグイグイと圧迫し、歯並びを悪くしてしまいます。
歯並びが崩れると上の歯との噛み合わせが狂い、虫歯や歯周病などのさまざまなトラブルにつながります。
その後もきちんと生える見込みがないような親知らずは、歯並びを守るためにも抜いた方がいいでしょう。
手前の歯を吸収している
『歯根吸収』といい、親知らずが手前の歯の根っこを押すように生えると、押された歯の根っこが溶けて短くなり、手前の歯が親知らずに吸収されてしまうことがあります。
噛み合わせがよくまっすぐ生えて、痛みなどの自覚症状が何もない場合は問題ないですが、虫歯や歯周病などで抜歯が必要になった場合、親知らずのみでなく吸収された歯も抜くことになる場合があります。
歯根吸収の症状が進行する前に、親知らずを抜歯する必要があります。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)
親知らずが顎の骨に埋まっている場合、含歯性嚢胞という膿の袋が作られるリスクがあります。
歯は最初、顎の骨のなかにできた袋のなかで生育し、歯の頭ができたあと根っこが伸びるにつれて頭を出し、生えてきます。
その袋の中が病変によって水の成分が増えてしまうのが、含歯性嚢胞です。
含歯性嚢胞がレントゲンなどで確認された場合、膿が溜まったり腫瘍になったりなどのトラブルを起こす前に抜歯を勧められるケースがあります。
顎関節症を起こしている
顎関節症を起こしている場合は、下顎がずれることで頭蓋骨に歪みが発生し、頭痛の原因になることがあります。
顎関節症は、噛み合わせの悪さや顎関節の生来の弱さなどの構造の問題、ストレスによる筋肉の緊張や外傷など、さまざまな原因により引き起こされます。
親知らずが変な方向に生えて他の歯と接触し、顎が異常な動きをしてしまうことも顎関節症の要因となります。
逆に、抜歯後の痛みや違和感により歯磨きが疎かになったり、無理に口を開けたりするなどの、抜歯後のケアが原因で炎症が起こり、顎関節症を発症する場合もあります。
親知らずの抜歯が原因で顎関節になるケースは多くありませんが、術後のケアを疎かにすることで別の問題を引き起こす例として、注意しなければいけません。
顎関節症の治療と親知らずの抜歯は、後々のケアについて歯科医としっかりと相談する必要があります。
抜かなくていい親知らずとは?

親知らずを抜かずに済むのは、まっすぐ生えていて何も問題が起こらない場合か、埋まったまま生えてこない場合です。
そして、健康な親知らずを抜かないでおくと、役に立つ場合があります。
親知らずを抜かなくていいケースについて紹介します。
ブリッジの支えにできる
親知らずがきちんと生えていれば、親知らずの手前の歯が虫歯などで抜歯になった際、ブリッジの支えの歯として利用できます。
親知らずが生えていない場合、その手前の歯を抜歯するとブリッジができず部分入れ歯となります。
歯牙移植
親知らずが残っていると、親知らずと同等の幅の歯を抜歯した場合、親知らずを移植することが可能です。
移植した場合の歯の寿命は7~10年であること、難易度が高い技術が必要であること、歯牙移植は全ての歯科医院で行っているわけではないことなど、一定の条件があります。
歯列矯正で活用できる
親知らずの手前の歯がなんらかの理由で抜歯されている場合、親知らずを引っ張り出して抜歯した歯の代わりにする方法があります。
歯牙移植は保険適用でできますが、成功率が低くなります。
歯列矯正の場合は、費用がかかりますが、すでに失われた歯の代わりとして親知らずを移動できます。
親知らずが生えている向きにもよりますが、まっすぐ生えていると歯列矯正の支点にも利用できるなど、利用方法があります。
頭痛以外にも!親知らずが引き起こす問題

親知らずが引き起こす問題は、頭痛以外にもさまざまあります。
それは、頭痛と同時進行したり、放置すると頭痛になったりする場合もあるため、以下を参考に今一度身体の調子を見直してみましょう。
肩こり
親知らずによる虫歯や歯肉炎のために片方で噛んだり、斜めや横に生えたために噛み合わせが悪くなると、肩こりの原因になります。
顎周辺や顎につながる首や頭の筋肉に、偏った負担がかかって血行不良になるためです。
人の噛む力は40~60kgと相当強いため、バランスよく噛めない場合に起こる頭痛や肩こりなどの弊害を軽く見てはいけません。
口臭
親知らずには歯ブラシが届きにくく、磨き残しやプラークが蓄積されやすいため、口臭のリスクがあります。
特に親知らずに歯肉が一部被っている場合、歯と歯肉の間に食べかすが溜まりやすく、歯ブラシで除去できない部分があるため、口臭につながります。
内臓への影響
親知らずの腫れを放置していると、最終的に内臓や心臓にまで感染が広がる可能性があります。
親知らずは変な方向に生えたり歯茎が被さっていたりすると、何度も繰り返し腫れる傾向があり、悪化すると口を開けられなくなってしまう場合もあります。
腫れを放置することで、喉や首、胸へと感染し発熱や倦怠感などの症状が出てきて、そのうち内臓へと感染が拡大し命に係わる可能性があり危険です。
稀なケースではありますが、このような親知らずの影響を侮らず、引き起こされる問題にしっかりと対処することが大切です。
親知らずを抜いた後の注意点

もし親知らずを抜くことになった場合は、以下のことに気をつけましょう。
- 数日は安静にする
- 処方された薬をきちんと服用する
- 当日は強いうがいをしない
- 下や指で患部を触らない
- 食事は柔らかいものを
- 腫れる場合がある
- タバコは吸わない・飲酒しない
痛み止めは飲んでから効くまで30分ほどの時間がかかり、抜歯の痛みは3日ほどの間、繰り返し襲ってきます。
本格的に痛くなってから飲むのではなく、少し痛くなってから、または時間を計って飲むようにすると安心です。
特にお酒は血行がよくなり出血が増し、タバコは治癒力を低下させるといわれているため、痛みを長引かせてしまう可能性があります。
患部を刺激せず、血流がよくなるようなことは避け、安静にすることで少しでも痛みを軽減しましょう。
まとめ
親知らずが頭痛を引き起こす原因や、対処法、抜歯した方がいい場合やその際の注意点などを詳しく紹介しました。
原因不明の頭痛がある場合、必ずしも頭に原因があるわけではないことや、歯が原因の頭痛は親知らずだけではないことも知って頂けたかと思います。
歯の役割は身体にとってとても大切であるため、頭痛がなくても、虫歯や違和感などの歯の不調にもっと敏感になり、積極的に改善していく意識を持ちましょう。
岡崎歯科では、歯科口腔外科のプロフェッショナルである院長をはじめとして「すべての人に必要な医療を」という考えのもと、患者さんと向き合い、治療を行っております。
歯の悩みや、歯が原因かもしれない不調がありましたら、ぜひ岡崎歯科へお気軽にご相談ください。
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