訪問歯科を使いたい!治療開始前に知りたいメリット・デメリット
訪問歯科は歯科医師や歯科衛生士が患者の自宅や介護施設を訪問して診療を行うサービスです。
自宅で口腔内のケアができるため、通院が困難な事情があっても健康な口腔環境を維持しやすくなります。
訪問歯科を利用したい人にとってはメリットが多い選択肢ですが、その反面、いくつかのデメリットがあることも事実です。
訪問歯科の利用前に、メリット・デメリットを知っておくことによって、スムーズに利用できるようになるでしょう。
この記事では、訪問歯科を利用する前に知っておきたいメリット・デメリットなどについて詳しく紹介します。
訪問歯科のメリット

訪問歯科を利用するメリットは複数あり、通院しにくい患者さんにとって負担軽減などの好影響があります。ここでは、訪問歯科のメリットについて紹介します。
通院の手間がない
訪問歯科の最大のメリットは、患者さんが歯科医院まで通院する手間が省けることです。
高齢者や身体の不自由な方にとって、外出や移動は大変な負担になるでしょう。
訪問歯科なら自宅をはじめ、お住まいの場所にいながらにして診療を受けられるため、通院によるストレスや負担が大幅に軽減されます。
慣れた自宅で治療を受けられる
自宅という慣れた環境で治療を受けられるのも訪問歯科の魅力です。
特に認知症の方や精神的に不安定な方にとって、見知らぬ場所での治療は大きなストレスになり、治療に不安を感じてしまうでしょう。
その点、訪問歯科による慣れ親しんだ場所での治療はリラックスした状態で受けることができるため、不安や疲労を軽減しやすくなります。
定期的に口腔内をきれいにできる
訪問歯科は継続的な治療が前提になるため、定期的な口腔ケアが行えます。
高齢者や要介護者は自分で十分な口腔ケアを行うことが難しい場合が多く、放置すると口腔内の健康状態が悪化してしまう可能性が高くなってしまいます。
しかし、訪問歯科で定期的なケアをすることにより、むし歯や歯周病を予防したり、口腔内の健康を維持したりなど、健康上のメリットが生まれるでしょう。
介護する人もケア方法を学べる
訪問歯科は患者本人だけでなく、介護する人も歯科医師や歯科衛生士から口腔ケアの方法や注意点を学べるため、日常のケアがより効果的になります。
介護される人ご自身も質のよいケアを受けられるようになり、口腔内の健康維持や毎日の気持ちよさが今まで以上にしっかり感じられるでしょう。
複数の患者さんを診察できる
歯科医院への通院と異なり、同じ場所であれば一度の診察で複数人の診察が可能です。
例えばご夫婦が(2人とも訪問歯科の対象なら)同じ日・同じ時間に診察が受けられるため、スケジュール調整が楽になります。
また、介護施設で一度に何人もの患者さんを診察すれば、やはりスケジュール調整が楽になることや、施設スタッフの負担を減らしやすくなるなどのメリットが生まれるでしょう。
生活や介護状況に合わせた指導が受けられる
訪問歯科では患者さんの生活環境や介護状況に合わせた個別の指導が受けられます。
例えば食事の際の注意点や適切な義歯の使い方、歯磨きのコツなど、日常生活に直結するアドバイスが聞けるため、生活の質が向上しやすくなります。
訪問歯科のデメリット

訪問歯科はメリットが多い選択肢ですが、人によってはデメリットだと感じられることもあります。ここでは、訪問歯科の主なデメリットについて紹介します。
治療内容が限られている
訪問歯科のデメリットのひとつは、治療内容が限られていることです。
訪問歯科では、持ち運びが可能な範囲で器具や機材を使用しますが、設備が整った歯科医院で行えるような高度な治療や大掛かりな手術には対応できない場合があります。
- 精密なCTスキャンが必要な診断
- 神経を抜く治療
- 歯列矯正
- インプラント治療
このような治療は訪問診療では難しいため、歯科医院への通院が勧められることもあるでしょう。。
訪問歯科を利用する際には、ご自身が受けたい治療が訪問診療で対応可能かどうか、事前に確認しておくと安心です。
通院よりも多少費用がかかる
訪問歯科は通院に比べて以下のような追加費用が発生することがあります。
- 歯科医師・歯科衛生士の交通費や出張費
- 歯科訪問診療料
- (介護保険利用の場合)居宅療養管理指導料
交通費や出張費は歯科医院の方針によるため、必ず発生するわけではありませんが、必要になることもあると考えておきましょう。
なお、歯科訪問診療料や居宅療養管理指導料は、医療保険や介護保険を利用することでカバーが可能です。
訪問歯科診療は健康保険が適用されるため、自己負担額は通常の診療と同程度になります。
要介護認定を受けている患者さんは介護保険の適用も受けることも可能になっており、居宅療養管理指導料の負担が軽減されます。
ただし、保険適用範囲外の診療やサービスを希望するには、上記以外の追加費用が発生することがあるため、事前に相談して見積もりを出してもらうとよいでしょう。
保険適用外の代表的な診療・サービスは以下になります。
- 歯列矯正
- ホワイトニング
- インプラント
- 保険適用外のむし歯治療の詰め物・入れ歯の素材
このような治療を希望する場合は保険適用外です。ご自分で判断しにくい場合は歯科医院へ確認してみてください。
歯科医院によって対応地域が限定されている
訪問歯科のサービス提供エリアは、各歯科医院によって異なります。特に地方や郊外に住んでいる場合、対応している訪問歯科医院の数が限られることもあります。
- 歯科医院から半径16kmの範囲のみ対象
- 地方や郊外の場合、訪問歯科に対応している医院が少ない可能性がある
訪問歯科を利用する際には、自分が住んでいる地域がサービスの対象となっているかを事前に確認してみてください。
また、対応エリア外であっても、交通費や出張費を支払うことで対応してもらえる場合もあるため、まずは歯科医院に相談してみましょう。
ただし、半径16kmを超えた範囲は保険適用外になります。
治療内容によってはすぐに対応できない
訪問歯科では、歯科医院で行われる通常の診療と比べて準備や機材の制約があるため、治療内容によってはすぐに対応できない場合があります。
例えば緊急性の高い治療や複雑な処置が必要になったとしても、訪問診療では対応が難しいケースもあるでしょう。
また、訪問歯科では予約制での診療が基本となるため、緊急の症状が発生してもすぐに治療を受けられないことがほとんどです。
このような状況に備えて、緊急時にはどのように対応するべきかを事前に確認しておくことが重要です。
訪問歯科は高齢者以外も利用できる

訪問歯科というと高齢者の利用を想像するかもしれませんが、実際は「通院が難しい人」であれば多くの人が利用できます。
「高齢者じゃないから」と諦めていた人にとって、訪問歯科が実現することはメリットになるのではないでしょうか。
ここでは、高齢者以外でも利用できる人について紹介します。
身体が不自由な人
身体に障害がある方や、病気や怪我で身体が不自由になった人も訪問歯科の対象です。歩行困難な方や車椅子を使用している人なども含まれます。
通院が困難な場合でも、自宅や施設で治療が行えるため、安心して歯科ケアを受けられるでしょう。
例えば、重度の関節炎や脊椎損傷などで外出やセルフケアが難しい方でも、訪問歯科を利用することで定期的な口腔ケアが可能になります。
虫歯や歯周病の予防、義歯の調整などを適切に行うことができ、口腔の健康を維持することができます。
精神疾患がある人
精神疾患を抱えている人も訪問歯科が利用できます。
- 重度のうつ病
- 不安障害
- 統合失調症など
このような疾患をお持ちで外出が難しい人や、診療環境でのストレスが大きい人にとって、自宅での治療は非常に効果的です。
慣れた環境でリラックスして治療を受けることで、歯科治療への抵抗感を減らし、継続的なケアが可能になるでしょう。
また、自宅での治療は家族や介護者のサポートを受けながらすすめられるため、安心感が増し、治療の効果が高まる可能性があります。
通院に支障のある疾病を持つ人
通院に支障をきたす病気を抱えている人も訪問歯科の対象です。
- 認知症
- パーキンソン病
- その他歯科医師が判断した疾病
このような疾病を持つ方は、外出すること自体がリスクとなることがあります。そのため、自宅で歯科治療を受けられる訪問歯科は非常に有効です。
歯科や口腔外科のない病院に入院中の人
長期入院中で、入院先の病院に歯科や口腔外科がない場合にも、訪問歯科の利用が可能になっています。
入院中の患者さんにとって、外出して別の施設で治療を受けることは大きな負担です。歯科医師が病院を訪れて治療を行う訪問歯科は、入院中には非常に便利だと感じられるでしょう。
口腔内の健康は身体の健康と密接に関わっていることは広く知られています。身体の回復に専念する必要がある人にとっても大切です。
闘病中でも適切な口腔ケアを受けることで、全身の健康状態の向上に貢献し、早い回復を目指しましょう。
「通院が難しい理由」に診断書は必要?
訪問歯科において、通院が難しい理由に主治医の診断書などは必要ありません。
- ご自身やご家族が通院困難だと感じている
- 訪問歯科が通院困難であり、訪問の対象だと判断した
この2つがそろっていれば、診断書がなくてもおおむね大丈夫でしょう。
ただし、最終的な判断は訪問歯科が行うため、訪問治療を希望しても対象外になる可能性はあります。心配になるかもしれませんが、まずは歯科医院に相談してみることをおすすめします。
まとめ
訪問歯科は通院が難しい人にとって、通院不要であることや慣れた自宅で治療が受けられること、生活や環境に合わせた指導が受けられることなどメリットが多い選択肢です。
一方、治療内容が限られていることや、通院よりも費用がかかる可能性があること、対応地域の問題など、デメリットがあることも確かです。
メリット・デメリットを比較して、ご自身に最適な治療方法を選択していきましょう。
岡崎歯科は訪問歯科に対応しており、通院が難しいと感じている患者さんを慣れたご自宅で治療可能です。
さまざまなご事情があり、通院にご不安を感じている患者さんはぜひ一度ご相談ください。
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