誤嚥性肺炎予防のためには口腔ケアが重要!具体的な方法やメリットを紹介
高齢者に多いとされる誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が肺に入り込んでしまうことが発症の原因とされています。
そのため、予防のためには口腔ケアが重要ですが、実際にどんなケアをしたらいいかわからない方も多いです。
この記事では、誤嚥性肺炎を防ぐための口腔ケアの具体的な方法や、口腔ケアをするメリットなどを紹介します。
口腔ケアについて詳しく知りたい方、誤嚥性肺炎を予防したい方は、ぜひご覧ください。
誤嚥性肺炎とは

高齢者が発症しやすい誤嚥性肺炎は、口腔ケアをすることである程度の予防ができるとされています。
まずは、誤嚥性肺炎について詳しく紹介します。
誤嚥性肺炎を発症する仕組み
誤嚥性肺炎とは、通常は食道に入るべき食事や水や唾が、気管に入ってしまうことで、それらと一緒に口腔内の細菌が肺に流れ込み発症する肺炎です。
高齢になるにつれて、嚥下機能が低下することや口腔内の状況が悪化することによって誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。
肺炎は死亡原因の中でも上位となる病気であり、日頃から予防するよう本人だけではなく家族や周りも気を付ける必要があるでしょう。
誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが大事
誤嚥自体を予防することも大切ですが、万が一誤嚥が起こってしまっても、口腔内が清潔に保たれていれば菌が肺に流れ込むリスクを減らせます。
そのため、歯垢が溜まらないように日々歯ブラシやフロスで口腔内を清潔に保つ必要があります。
また、入れ歯をしている方は、入れ歯のケアも毎日しっかりと行う必要があるでしょう。
誤嚥性肺炎を予防する口腔ケア

誤嚥性肺炎を予防するには、嚥下機能を向上させることも重要ですが、万が一誤嚥が起こったときでも口腔ケアがしっかりできていれば誤嚥性肺炎のリスクを下げられます。
ここからは、誤嚥性肺炎を予防する口腔ケアについて紹介します。
歯ブラシで歯垢を除去する
口腔ケアの基本は歯磨きです。高齢者の場合は歯茎が弱くなっていることも考えられるため、柔らかくヘッドが小さめのブラシを選ぶのがおすすめでしょう。
歯磨きは、以下のポイントに気を付けて行います。
- 45度程度に歯ブラシを傾ける
- 力を入れすぎず優しく磨く
- 溜まった唾液は定期的に吐き出す
- 歯ブラシで磨けない粘膜部分はウェットティッシュで汚れをふき取る
粘膜部分の清掃は、専用のスポンジなども販売されているため、そういったアイテムを利用するのもおすすめです。
自分で歯磨きができない方の場合、家族や周りの方が上記の方法で歯磨きをしてあげることが重要となります。
舌苔を取る(適度に)
舌についている舌苔(ぜったい)とは、白いコケのようなもので食べカスや細菌が原因で付着するため、厚くなるとトラブルの原因になることがあります。
そのため取り除く必要がありますが、多少の舌苔は問題なく削り取る必要はないため、適度に清掃するようにしましょう。
舌の清掃は、内から外、奥から手前を意識して行います。
力を入れすぎて舌自体を傷つけないようにすることと、奥を清掃しすぎて嘔吐の原因にならないよう気を付けましょう。
しっかりうがいをする
口腔ケアの最初と最後にしっかりうがいをして、食べカスや細菌を外に排出する必要があります。
このとき、うがいのために口に含んだ水を飲み込まないよう注意しましょう。
飲み込んでしまうと、せっかく歯や歯茎から取った歯垢を体内に入れることになってしまいます。
ゆっくりとうがいをして、しっかり吐き出すよう心がけることが重要です。
入れ歯の清掃
入れ歯がある方は、必ず取り外して丁寧に清掃してから再度装着するようにしましょう。
ただし、入れ歯は天然歯以上に汚れが付着しやすいこともある反面、衝撃や熱に弱く取り扱いに注意が必要です。
しっかり流水で洗い流した後、細かい部分は入れ歯専用のブラシを使用して、汚れをしっかり落としましょう。
また、入れ歯専用の洗浄剤を使用して除菌してから再度装着することをおすすめします。
口腔内を保湿する
口腔内が乾燥しすぎると、痰がからんだり固まったりすることがあるため、歯ブラシの後は口腔内を保湿することをおすすめします。
口腔保湿剤は、スプレータイプとジェルタイプが主な種類となります。
スプレータイプは即効性があり、ジェルタイプは粘膜をしっかり保護するのが特徴です。
大量に塗布すると咽頭へ流れてしまう恐れがあるため、用法用量を守り使用しましょう。
唾液の分泌を促す
唾液には洗浄や抗菌の作用がありますが、それだけではなくさまざまな機能をもっているとされています。
唾液の分泌を増やすには、水分をしっかり摂取することや、酸味のある食事によって刺激を与えることなどが挙げられます。
さらに、副交感神経を優位にしてリラックス状態になることで、唾液が排出されやすくなるため、顔のマッサージやストレッチを行うのも効果的でしょう。
口腔ケア以外にできること

ここまで口腔ケアによって誤嚥性肺炎を防ぐ方法を紹介してきましたが、口腔ケア以外にできる予防も覚えておく必要があります。
ここからは、口腔ケア以外の誤嚥性肺炎の防ぎ方を紹介します。
食べるときの姿勢に気を付ける
食事をするときの姿勢は、上体を後ろに下げてあごを引くと、誤嚥のリスクを下げられるとして推奨されています。
食べるときに背筋が曲がっている方や、あごが出てしまっている方は日頃から食べる姿勢に気を付けてみましょう。
食後1時間半は横にならない
誤嚥性肺炎は、胃液の逆流によって発症することもあるため、食後すぐに横にならず1時間半くらいは上体を起こしておきましょう。
ゆっくり噛んで食べる
食べるときに早く飲み込んでしまうと、食べ物がしっかり咀嚼されないまま流れ込むことになり、誤嚥を引き起こす原因になります。
ゆっくりよく噛んで食べることを心がけると、誤嚥を防げるだけではなく唾液の分泌も良くなるため、口腔内の自浄作用も高まるでしょう。
頭を高くして寝る
誤嚥性肺炎は、寝ているときに起こりやすいともされているため、出来る限り寝るときは頭を高くして胃液の逆流を防ぐようにしましょう。
口腔ケアを行うメリット

誤嚥性肺炎を防ぐ以外にも、口腔ケアをしっかり行うことはさまざまなメリットを感じられます。
ここからは、口腔ケアを行うメリットを紹介します。
虫歯や歯周病を予防する
口腔ケアをしっかり行うことで、虫歯や歯周病を予防して口腔内を健康に保てます。
歯を失ってしまう原因ともされる虫歯や歯周病は、歯科医院での定期的なケアも必要ですが、それ以上に自宅での口腔ケアが重要です。
毎食後の歯磨きや入れ歯の洗浄によって、虫歯や歯周病を予防しましょう。
ウイルス感染の予防
インフルエンザやコロナウイルス感染症、ノロウイルスなどは、空気が乾燥することでウイルスの水分が蒸発し、空気中に漂いやすくなることで感染力が高まります。
くしゃみや咳による飛沫でウイルスが飛んでくると、口腔内の細菌が粘膜を破壊してさらにウイルスを侵入させやすくします。
口腔内を清潔に保つことで粘膜の破壊を防ぎ、感染症を予防しましょう。
全身疾患の予防
歯周病が悪化すると、口腔内の環境が悪くなるだけではなく全身の疾患を引き起こすことがわかっています。
例えば、歯周病の悪化によって以下のような症状が悪化します。
- 脳梗塞
- 糖尿病
- 関節炎 など
そのため、歯周病を悪化させないためにも、口腔ケアを徹底して進行を防ぐことが、全身疾患の予防にもつながります。
唾液の分泌が活性化する
口腔ケアを行うことで、唾液の分泌が活発になり以下のような働きを促します。
- 粘膜保護
- 自浄作用
- 水分平衝
- 抗菌作用
- 緩衝作用
- 消化作用
- 組織修復
- 再石灰化
唾液の分泌量は1日あたり1.0~1.5リットルほどとされますが、この数値を下回ると口腔内が乾燥して唾液の分泌が減ります。
唾液は上記の働きを担っているため、唾液の分泌を促すよう口腔ケアを徹底して行いましょう。
老化防止になる
口腔ケアを行うことで、加齢による口腔機能の低下を防ぎ、食欲を改善させたり栄養状態を改善させたりするため、老化防止に役立ちます。
食欲自体が減ってしまっているなど、全身状態にも悪影響を与えるような症状が出ている方は、口腔ケアによって老化防止を目指しましょう。
嚥下機能を低下させないためにも、日頃から口腔ケアをしっかり行う必要があるでしょう。
まとめ
誤嚥性肺炎を防ぐためには口腔ケアが非常に重要です。
他のケアを行っていても、口腔内にいる菌が体内に入ってしまっては意味がありません。
ご自身で口腔ケアを行えない方には、ご家族や周囲の方が丁寧にケアしてあげることが、誤嚥性肺炎を防ぐために重要です。
『岡崎歯科』では、定期的な検診によって口腔内の環境を改善させるようさまざまな治療を提案させていただきます。
さらに、通院が難しい方に向けて訪問歯科も行っているため、自宅で歯科医院の診察を受けたいとご希望される場合は、ご相談いただけますと幸いです。
口腔ケアは何歳からはじめても遅いということはありません。
誤嚥性肺炎を防ぐためにも、全身疾患を防ぐためにも、ぜひこの機会に口腔ケアに力を入れてみてください。
ご不明点や不安なことがあれば、お気軽に『岡崎歯科』までご相談ください。
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