誤嚥性肺炎と入れ歯の関係は?防ぎ方や正しいお手入れの方法を紹介

現在入れ歯をしている方や、これから入れ歯をする予定がある方は、入れ歯をすると誤嚥の危険性が高まると聞いて心配になることがありませんか?

実際、入れ歯によって誤嚥のリスクが高まり、誤嚥性入胃炎を発症してしまうこともありますが、適切なケアをすることで防げる病気でもあります。

この記事では、誤嚥性肺炎と入れ歯の関係について、防ぎ方や入れ歯の正しいお手入れについて詳しく紹介します。

入れ歯による誤嚥性肺炎のリスクを心配している方は、ぜひご覧ください。

入れ歯と誤嚥性肺炎の関係

入れ歯を入れようとする高齢者

入れ歯をすると誤嚥性肺炎のリスクが高まると聞くと、どのような関係によってそうなるのか疑問に思う方もいます。

まずは、入れ歯と誤嚥性肺炎の関係について詳しく紹介します。

誤嚥とは

食べ物や飲み物を飲み込む動作を嚥下(えんげ)と言い、通常は嚥下によって飲み込まれた物は食道に送られるものです。

しかし、なんらかの理由によって食べ物や飲み物が気管に入り込んでしまうことを誤嚥(ごえん)と言います。

気管に食べ物や飲み物が入ってむせたり咳込んだりした経験がある方は多いと思いますが、通常そのように咳反射によって吐き出されるものが、高齢になると吐き出されないことがあります。

そのため、誤嚥を繰り返してしまう方は注意が必要です。

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎は、誤嚥によって気管支や肺に流れ込む物の中にいる菌が原因で発症する肺炎で、命にかかわるケースもあるため注意が必要です。

誤嚥すると全ての方が誤嚥性肺炎を引き起こすわけではなく、患者本人の免疫力や誤嚥した量、咳反射の有無などによって発症の頻度は変わります。

誤嚥性肺炎を発症すると、咳、熱、痰など風邪のような症状が出ますが、自覚症状が無く肺炎を発症するケースもあるため、日頃から誤嚥を繰り返している人は注意しましょう。

入れ歯と誤嚥性肺炎はどう関係ある?

一般的に、入れ歯は失った歯を補って食事をしやすくするための物となるため、嚥下機能を向上させるものと言えます。

しかし、もともと嚥下機能が低下している方が入れ歯を上下に装着すると、舌の動きが制限されることで嚥下が難しくなることがあります。

さらに、入れ歯は天然歯と同じように毎食後お手入れをする必要がありますが、ケア不足によって食べカスが残ったままになっていると、細菌が繁殖しやすく誤嚥性肺炎のリスクを高めると考えられるでしょう。

入れ歯による誤嚥性肺炎を防ぐ方法

入れ歯による誤嚥性肺炎を防ぐ方法を知って笑顔の高齢女性

入れ歯を効果的に使用するためには、誤嚥性肺炎を防ぐ方法を把握しておく必要があるでしょう。

ここからは、入れ歯による誤嚥性肺炎を防ぐ方法を紹介します。

慣れてから上下の入れ歯を装着する

特に入れ歯をはじめて装着する方は、上下の歯を一気に入れ歯にしてしまうと誤嚥のリスクを高めてしまうため、まずは上の入れ歯だけを装着して様子を見ましょう。

嚥下は、舌を上あごに押し付けて行われるため、嚥下がうまくできるようになるには、上の入れ歯に慣れることが重要です。

上の入れ歯を装着してもスムーズに嚥下できるようになったら、上下両方を入れ歯にしても問題ないでしょう。

食事の内容を見直す

嚥下機能が低下していると感じたら、以下のような物は避けて飲み込みやすい物を選ぶようにしましょう。

固形物は細かく刻んでとろみをつけたり、水ではなくゼリー状にしたものを口に含んだりと、食事の内容を見直してみることが重要です。

誤嚥性肺炎を防ぐ食事について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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誤嚥性肺炎を予防する食事のしかた&免疫力を上げる食事を紹介

食事中の姿勢に気を付ける

食事をするときに、背中が曲がっていたりながら食べをしたりすると、舌に力が入りづらくなることや、咀嚼回数が少なくなることによって誤嚥を引き起こしやすくなります。

そのため、食事中は背中を伸ばしてまっすぐの状態を保ち、舌に力が入るよう心がけましょう。

また、誤嚥は胃液が逆流することでも発生するため、食後すぐに横にならずに、最低でも1時間半程度は時間が経ってから横になるよう気を付けることをおすすめします。

口腔内を清潔にする

誤嚥性肺炎を引き起こす原因の一つとされるのが、口腔内の菌が肺に流れ込んでしまうことです。

そのため、口腔内の菌を減らすために口腔ケアをしっかり行う必要があります。

入れ歯は外してお手入れすることはもちろん、天然歯も食事の都度歯磨きをして食べカスやプラークを除去するようにしましょう。

口腔ケアについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

【関連記事】

誤嚥性肺炎予防のためには口腔ケアが重要!具体的な方法やメリットを紹介

唾液の分泌量を増やす

嚥下を正しく行うためには、唾液によって食べ物をスムーズに食道まで流し込む必要があります。

唾液が減少すると、そのような作用が働かなくなるだけではなく、乾燥して菌が繁殖しやすい状態にもなるため、唾液の分泌量を増やすことは誤嚥性肺炎を予防するために必要です。

唾液はリラックス状態にあると分泌が促されるため、ストレスを溜めないことや緊張状態を作らないことも重要です。

また、以下の場所にある唾液腺をマッサージすることも効果的です。

あまり力を入れすぎないように、親指で優しくマッサージすると、唾液腺が刺激されて唾液の分泌が活発になる効果があります。

入れ歯の種類を変える

入れ歯を保険適用で作製すると、プラスチック製になることから破損を防ぐために厚みを出して作るのが一般的です。

厚みがあるとどうしても装着したときに違和感が生じ、舌の動きにも影響するためそのせいで誤嚥が発生しているケースもあります。

厚みがなくても丈夫な種類は保険適用外となりますが、誤嚥が気になる方は歯科医師と相談して金属床などに変更してみるのも一つの手段です。

入れ歯の正しい手入れ方法

入れ歯と入れ歯を手入れする歯科器具の画像

入れ歯も自分の歯を毎日磨くのと同じように、毎日お手入れをする必要がありますが、実際どのようにケアしたらいいのでしょうか。

ここからは、入れ歯の正しいお手入れ方法を紹介します。

専用のブラシで磨く

入れ歯は市販の歯ブラシでも洗えますが、できれば入れ歯専用のブラシを使用するのがおすすめです。

硬すぎず柔らかすぎない適度なかたさのブラシで、しっかり入れ歯についた頑固な汚れを落とせます。

入れ歯を磨くときは、硬すぎると傷をつけてしまい、柔らかすぎると汚れを落としきれないため、入れ歯専用の程よいかたさのブラシを使用しましょう。

ただし、市販の歯磨き粉には研磨剤が含まれているため、歯磨き粉は使用しないようにしましょう。

水やぬるま湯に浸ける

入れ歯は材質上乾燥しやすく、こまめに水やぬるま湯に浸けておかないと乾燥してひび割れや変形してしまいます。

乾燥してひび割れたり変形したりしたままの入れ歯を使用すると、痛みを感じたり装着感が悪くなったりする原因となり、誤嚥を引き起こすこともあります。

ただし、熱いお湯に浸けると変形してしまうリスクがあるため、水かぬるま湯に浸けるようにしましょう。

定期的に歯科医院で調整する

入れ歯は、1ヶ月に1度は歯科医院で定期的に調整してもらうようにしましょう。

しっかり自分の口腔内に合った状態になっているか、変形していないかなどこまめにチェックすることで、入れ歯が原因の誤嚥を防げます。

さらに、定期的に歯科医院で検診を受けることで、天然歯の清掃などをしっかり行えるため、誤嚥性肺炎のリスクを下げられるでしょう。

食事の都度洗浄する

入れ歯は専用のブラシで清掃すると前述しましたが、この清掃は食事の都度行うのが必須です。

食べカスが入れ歯に付着すると、口臭の原因になることや、入れ歯と歯ぐきの間に汚れが溜まると痛みが生じることもあります。

そのため、食事の都度洗浄することを心がけましょう。さらに、粉薬を服用した後も同じように洗浄することが推奨されます。

入れ歯洗浄剤を使用する

ブラシでしっかり清掃しても、汚れを完全に落とすのは難しいため、就寝中は入れ歯洗浄剤を使用してしっかり洗浄することをおすすめします。

ただし、入れ歯洗浄剤は市販のものや歯科医院で販売されているものを選び、熱湯や漂白剤に浸けるのはやめましょう。

また、洗浄剤に長時間入れ歯を浸けるのもNGとなるため、用法用量を守って使用しましょう。

就寝中の洗浄をすることで、入れ歯の洗浄をしっかり行い長持ちさせるよう心がけることが重要です。

まとめ

入れ歯は嚥下が難しくなることや、汚れがつきやすいことから誤嚥性肺炎を引き起こす原因となることがあります。

しかし、対策を講じることでそのリスクは大きく減らせます。

特に重要なのは、汚れを放置せずしっかりお手入れをすることです。天然歯と同じように食事の都度入れ歯を清掃して清潔な状態を保ちましょう。

岡崎歯科』では、入れ歯のメンテナンスや天然歯の定期的な清掃によって、誤嚥性肺炎を予防できるよう患者様の立場に立ってさまざまな治療を提案させていただきます。

さらに、歯科医院に来院するのが難しい患者様に対して、訪問歯科のご案内も行っています。

入れ歯による誤嚥性肺炎が心配な方や、入れ歯をするようになって誤嚥が増えたと感じる方は、歯科医師による診察を受けることをおすすめします。

歯科医院で診察を希望する方も、訪問歯科を希望する方も、ぜひ一度『岡崎歯科』までお気軽にご相談ください。

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